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試合レビュー

オランダ1-1モロッコ、PK2-3。ディオプ同点からブヌとサイバリで16強へ

オランダは72分ガクポで先制したが、モロッコは90+1分ディオプで追いついた。延長ラヒミの決定機を経てPK戦へ進み、ブヌの前でオランダは3本を失敗。最後にサイバリが決め、モロッコが1-1、PK2-3で16強へ進んだ。

大会

ステージ

ラウンド32
モロッコがオランダを1-1からPK2-3で下したW杯26ラウンド32の試合レビュー用サムネイル
AI生成イメージ / J Football Hub / 画像はAI生成によるイメージです
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ガクポの一撃から、ディオプの同点弾へ

前半終盤、モロッコのゴール前で最初に空気を変えたのはブヌだった。オランダは左のファン・デ・フェンを前へ出し、44分に左足で枠を捉える。だが、ブヌが反応して止めた。試合はまだ0-0のままでも、ここでモロッコは一度ゴールを守り切る。後から振り返ると、このセーブはPK戦の前触れでもあった。

この試合は、グループFを首位で抜けたオランダと、グループCを2位で突破したモロッコのノックアウト初戦だった。舞台はモンテレイの夜。AP配信は、この段階で最も高い合計FIFAランキングのカードだったと伝えている。実績あるチーム同士の対戦で、先に感情を揺らしたのはオランダだった。AP配信は、オランダがW杯で何度も決勝トーナメントを越えてきた常連であること、モロッコが前回大会でアフリカ勢初の準決勝へ届いたことも並べていた。つまり、この対戦は前回大会で世界を驚かせた勢いと、欧州の常連がぶつかる場でもあった。

ただ、前半の細部を拾うと、モロッコの方が先にゴールへ近づいていた。Al Jazeera/AFPは、20分にエル・アイナウィがハキミのCKへ頭で合わせ、フェルブルッヘンが反応した場面を伝えている。その直後にもハキミの強いシュートをフェルブルッヘンが上へ逃がした。The Nationalは、サイバリとファン・ヘッケの小競り合い、ウナヒのシャツが破れた場面にも触れている。試合はきれいな保持戦ではなく、序盤から身体をぶつけ合う空気を帯びていた。

72分、サマーフィルが中央へ差し込み、ガクポが右足で仕留める。Al Jazeera/AFPとAPは、ガクポが私生活でつらい知らせを受けた直後の得点だったこと、得点後に味方に抱きしめられたことを報じている。オランダのベンチが一斉に彼へ向かった場面は、この先制点がスコア以上の重みを持っていたことを示していた。

ところが、モロッコはその空気を受け止めた。75分以降に交代を重ね、86分にはラヒミとタルビを入れる。

タルビは左からボールを運び、追加タイムにクロスを上げた。そこへ入ったのがディオプである。後半開始直後に警告を受けていたセンターバックが、追加時間に相手ゴール前へ入り、頭で同点へ戻した。

この同点弾は、単なる終盤の放り込みではない。モロッコはそれまで中央で受け直し、左右の出口を使い、オランダを自陣へ押し戻していた。交代で入ったタルビが左の幅を作り、ディオプが最後にボックスへ入る。守備者が同点ゴールを決めたことより、そこまでの押し込みが彼をゴール前へ運んだことが大きい。

延長でも、モロッコは止まらなかった。Al Jazeera/AFPは、ラヒミが延長で抜け出し、フェルブルッヘンが大きなセーブで止めた場面を伝えている。90分で追いついた側が、延長でも先に相手の背後を取った。オランダはガクポの一撃で先へ進みかけたが、追加点を作れず、最後は守る時間が長くなった。

PK戦はオランダ先攻だった。コープマイネルスとヴェグホルストは決めたが、クライファート、ティンバー、サマーフィルが失敗する。モロッコもエル・アイナウィとハキミが失敗したが、ラヒミ、タルビ、サイバリが決めた。AP配信は、ブヌがサマーフィルのキックを左手で弾き、その直後にサイバリが低く決めて、シャツを脱いで叫びながら仲間に囲まれたと描写している。

最後にサイバリが沈め、モロッコがPK戦を制した。ブヌが前半の決定機を止め、タルビが同点弾を運び、サイバリが締めた。モロッコの勝ち上がりは、ひとつの奇襲ではなく、感情を揺らされた先制点から、終盤の押し込みとPK戦まで続いた仕事の積み重ねだった。そこにはブヌの反応、ガクポを囲んだ仲間、ディオプの飛び込み、サイバリの叫びが順番に残っている。

図解
オランダ 1-1 モロッコ、PK2-3 主要な試合経過

主要な試合経過

オランダが72分にガクポの右足で先制し、モロッコは90+1分にディオプが追いついた。120分は1-1のまま終わり、PK戦はサイバリが5本目を決めてモロッコが3-2で勝った。

NED 1-1 MAR, PK 2-3

オランダ
NED
モロッコ
MAR
  1. 44'
    NED決定機

    ミッキー・ファン・デ・フェン

    前半終盤、ファン・デ・フェンの左足シュートをブヌが止めた。

    0-0

  2. 72'
    NED得点

    コーディ・ガクポ

    サマーフィルのパスからガクポが右足で決め、オランダが先制した。

    1-0

  3. 90+1'
    MAR得点

    イッサ・ディオプ

    タルビの左クロスにディオプが頭で合わせ、モロッコが終了間際に追いついた。

    1-1

  4. 106'
    MAR決定機

    スフィアン・ラヒミ

    サイバリのスルーパスからラヒミが抜け出したが、フェルブルッヘンが止めた。

    1-1

  5. PK5
    MARPK

    イスマエル・サイバリ

    サマーフィルが失敗した後、サイバリが決めてモロッコの勝ち上がりが決まった。

    PK 2-3

スタッツ表を表示
FIFAフルタイムレポート 基本スタッツ
FIFAフルタイムレポート 基本スタッツ
指標オランダモロッコ
シュート611
CK58
警告01
PMSR 技術スタッツ
PMSR 技術スタッツ
指標オランダモロッコ
xG0.331.3
ラインブレイク完了6294
守備ラインブレイク410
敵陣3分の1での受球68167
守備対応を求められる回数非保持の時間が長い側では増えやすい値。守備の成功率そのものではない。340244
ボールロスト誘発5152
詳細イベントを表示
  1. 44'

    NED決定機: ミッキー・ファン・デ・フェン

    前半終盤、ファン・デ・フェンの左足シュートをブヌが止めた。

    0-0

  2. 47'

    MAR警告: イッサ・ディオプ

    後半開始直後、ディオプに警告が出た。

    0-0

  3. 72'

    NED得点: コーディ・ガクポ

    サマーフィルのパスからガクポが右足で決め、オランダが先制した。

    1-0

  4. 86'

    MAR交代: ラヒミとタルビ投入

    モロッコはラヒミとタルビを入れ、左からのクロスと前線の動きを増やした。

    1-0

  5. 90+1'

    MAR得点: イッサ・ディオプ

    タルビの左クロスにディオプが頭で合わせ、モロッコが終了間際に追いついた。

    1-1

  6. 106'

    MAR決定機: スフィアン・ラヒミ

    サイバリのスルーパスからラヒミが抜け出したが、フェルブルッヘンが止めた。

    1-1

  7. PK1

    NEDPK: コープマイネルス成功、エル・アイナウィ失敗

    オランダ1本目のコープマイネルスが決め、モロッコ1本目のエル・アイナウィは失敗した。

    PK 1-0

  8. PK3

    MARPK: クライファート失敗、ラヒミとタルビ成功

    クライファートが失敗した後、ラヒミ、ヴェグホルスト、タルビが決め、3本目終了時点で2-2になった。

    PK 2-2

  9. PK4

    NEDPK失敗: ティンバーとハキミが失敗

    4本目はオランダのティンバー、モロッコのハキミがともに失敗した。

    PK 2-2

  10. PK5

    MARPK: イスマエル・サイバリ

    サマーフィルが失敗した後、サイバリが決めてモロッコの勝ち上がりが決まった。

    PK 2-3

72分ガクポ、90+1分ディオプ、延長の攻防、PK戦5人目サイバリまでを示す図解。

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公式配置。外の高さと2ボランチの受け直し

開始時の配置では、両チームの狙いがはっきり分かれる。オランダは3-4-3。フェルブルッヘンの前にアケ、ファン・ダイク、ファン・ヘッケを置き、外側にファン・デ・フェンとダンフリースを高く出した。中央ではデ・ヨングとフラーフェンベルフが並び、前線のガクポ、ブロビー、サマーフィルへつなぐ。

この3バックは、守備を増やすだけの選択ではなかった。ファン・デ・フェンとダンフリースを中盤の外へ置くことで、モロッコのサイドバックを押し下げる可能性がある。左のファン・デ・フェンは前半44分にシュートまで進み、右のダンフリースも空中戦でゴール前へ顔を出した。外側の選手が高く入る形自体は、試合の中で何度か表れた。

モロッコは4-2-3-1で入った。ブヌの前にマズラウィ、リアド、ディオプ、ハキミ。

エル・アイナウィとブアディが同じ高さで中央を受け、2列目にエル・ハヌス、ウナヒ、ブラヒム、最前線にサイバリを置く。この配置で効いたのは、ハキミとマズラウィだけで前進を作ったのではなく、2ボランチが一度受け直してから左右へ逃がした点である。

配置図では、両チームの行構造と距離から噛み合わせを追える。オランダは後方3枚、中盤4枚、前線3枚を保つ。

モロッコは後方4枚、2ボランチ、2列目3枚、サイバリ単独で受ける。特にエル・アイナウィとブアディが同じ列にいること、サイバリが最前列の単独として見えることが、この試合の噛み合わせを決める。

サイバリの立ち位置を見ると、モロッコの攻撃の奥行きが分かる。彼は最前線にいるが、孤立してロングボールだけを待つ役ではない。ウナヒやブラヒムが間で受けると、サイバリはセンターバックを引きつけ、時には背後へ抜ける。後に延長でラヒミへ出したスルーパスも、前線の1人がボールを受けるだけでなく、次の走者を使えることを示した。

この形があるから、モロッコの攻撃は片側だけに閉じなかった。

中央で受け直し、外へ逃がし、もう一度前線へ向かう。この往復が、モロッコの保持を長くした。

オランダの前線3枚は、相手の4バックにそのまま当たりやすい。だからこそ、中盤の外にいるファン・デ・フェンとダンフリースがどれだけ前を向けるかが鍵になった。だが、モロッコの2ボランチが中央を消し、ウナヒやブラヒムが次の受け手になると、オランダは外の高さを保ってもボールを続けて握りにくくなる。

試合全体の保持はモロッコへ傾いた。通常記録の保持率はオランダ31%、モロッコ69%。技術指標でも、PMSRの拡張ポゼッションはモロッコ61.4%だった。数字を先に置くと単なる支配率の話に見えるが、実際には中央の受け直しと左右の出口がその数字を作っている。保持の差は、中央と外を行き来できた差でもある。エル・アイナウィとブアディが同じ列で支え、ハキミとマズラウィが逃げ道になった。

オランダは前線3人の背後に、ファン・デ・フェンとダンフリースを外の中盤として置いた。問題は人数の多さではなく、外で前を向いた後に中央へ戻す通路をどれだけ作れたかだった。モロッコの2ボランチがその通路を閉じると、オランダは幅を取れても連続攻撃へ移れない。その差が、終盤の同点弾へ続く土台にもなった。

オランダの先制は、開始時配置から直接生まれたものではない。71分の交代でブロビーとアケを下げ、ヴェグホルストとコープマイネルスを入れた直後、サマーフィルのパスからガクポが決めた。

モロッコの同点弾も、タルビが左に入った後のクロスが起点だった。公式初期配置は試合の出発点であり、先制点と同点弾は交代後の揺れの中で起きた。開始時の形で噛み合わせを押さえ、終盤は交代で生まれた揺れを追う。この二つを分けると、得点場面の意味がぼやけない。

図解
オランダ 1-1 モロッコの公式初期配置(現地6/29・日本時間6/30)

公式記録確認済みです。オランダ 3-4-3、モロッコ 4-2-3-1を示します。詳細は折りたたみで確認できます。

公式スタメン配置

公式タクティカル・ラインアップに基づく開始時配置。交代後の変化、延長戦、PK戦の出来事は主要経過図と本文で補足する。

スタメン一覧を表示

オランダ代表

3-4-3

  • 背番号1 バルト・フェルブルッヘン
  • 背番号5 ナタン・アケ
  • 背番号4 フィルジル・ファン・ダイク
  • 背番号6 ヤン・ポール・ファン・ヘッケ
  • 背番号15 ミッキー・ファン・デ・フェン
  • 背番号21 フレンキー・デ・ヨング
  • 背番号8 ライアン・フラーフェンベルフ
  • 背番号22 デンゼル・ダンフリース
  • 背番号11 コーディ・ガクポ
  • 背番号19 ブライアン・ブロビー
  • 背番号24 クリセンシオ・サマーフィル

モロッコ代表

4-2-3-1

  • 背番号1 ヤシン・ブヌ
  • 背番号3 ヌサイル・マズラウィ
  • 背番号18 シャディ・リアド
  • 背番号14 イッサ・ディオプ
  • 背番号2 アクラフ・ハキミ
  • 背番号24 ニール・エル・アイナウィ
  • 背番号6 アイユブ・ブアディ
  • 背番号23 ビラル・エル・ハヌス
  • 背番号8 アゼディン・ウナヒ
  • 背番号10 ブラヒム・ディアス
  • 背番号11 イスマエル・サイバリ

FIFA公式タクティカル・ラインアップをもとにした開始時配置。オランダは3-4-3、モロッコは4-2-3-1。

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先制後の時間。ガクポの一撃を次の攻撃へつなげられたか

オランダが先に打った手は、一度ははっきり実った。The Nationalは、飲水タイムの後にロナルド・クーマンがブロビーとアケを下げ、ヴェグホルストとコープマイネルスを入れた流れを転機としている。直後にヴェグホルストが競り、サマーフィルが抜け出し、足を滑らせながらもガクポへ預けた。ガクポは右足で沈め、オランダは72分に1-0へ進んだ。

ここだけを見れば、ベンチワークは成功だった。3バックの外にファン・デ・フェンとダンフリースを置き、前線に高さを足し、少ない前進を得点へ変える。ノックアウトの試合では、この一撃だけで勝ち上がることもある。しかも得点後、AP配信とAl Jazeera/AFPが伝えたように、味方はガクポへ集まり、彼を抱きしめた。得点は戦術上の一点であると同時に、チームが彼を囲んだ場面でもあった。

ただ、そこからが続かなかった。前半44分のファン・デ・フェン、後半早い時間のダンフリース絡みの空中戦、72分のガクポ。目立つ場面はあるが、連続して相手のボックスを揺らす時間は長くない。

公式の通常記録では、オランダのシュートは120分で6本、枠内は2本だった。先制した後に、相手をもう一度押し返す時間を作れなかったことが重い。その不足が終盤に響いた。この差は小さくない。

3バックにした狙いは理解できる。ファン・ダイクを中央に置き、アケとファン・ヘッケで横を支える。外にはファン・デ・フェンとダンフリースがいる。守備の安定を保ちながら、左右の高さも使える並びだった。だが、ボールを持ち直す局面では、デ・ヨングとフラーフェンベルフが前を向く前に、モロッコの2列目と2ボランチが近づいてきた。

先制した直後のチームには、相手の焦りを使ってもう一度ゴール前へ入る選択肢がある。オランダはそこを増やせなかった。ガクポが決めた後、モロッコの最終ラインと2ボランチは急にばらけたわけではない。そこからボールを持ち直し、ハキミやマズラウィの側へ逃がして、失点後の時間を落ち着かせた。

90+1分の失点も、偶然の一発だけでは片づかない。オランダは86分にフラーフェンベルフとファン・デ・フェンを下げ、ティンバーとハトを入れている。終盤の人員整理はしていた。それでも左からタルビにクロスを上げられ、ディオプに中央へ入られた。守備人数はそろっていたが、ボールの出どころと最後の入り方を消せなかった。

延長でも、勝ち越しへ向かう明確な連打は出なかった。106分には逆に、サイバリのスルーパスからラヒミが抜け出し、フェルブルッヘンが止めている。Al Jazeera/AFPはこのセーブを大きな場面として伝えた。先制した側が、延長で相手の最も鋭い場面を受ける展開になった。

AP配信は、オランダがW杯で3大会続けてPK戦で敗れたことも伝えている。PK戦には偶然の揺れがある。それでも、同じ出口へ何度も追い込まれるなら、90分と延長で主導権を取り戻す力も問われる。ガクポの得点を守り切るだけでなく、次の攻撃を作る時間を増やせなかったことが、またPK戦へ向かわせた。オランダの問題は、守備枚数ではなく、先制後に相手陣内で時間を使えなかったことだった。

最後に残ったのがPK戦だった。AP配信によると、クーマンは延長後半にクライファートを入れた理由を、PK戦に強い選手の一人だからだと説明している。そのクライファートが外した。ティンバーも外し、サマーフィルはブヌに止められる。クーマンはその失敗が本人にもチームにもより苦いものになったと語った。オランダの敗退はPKだけではないが、準備した一手まで外れたことで、120分の停滞が最後にはっきり形になった。

図解
オランダが先制後に主導権を戻せなかった理由

3-4-3で先制したが、追加点へ進む時間を増やせず、PK戦でラウンド32敗退となった。

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追いついた理由。ディオプ、ブヌ、サイバリが残した仕事

モロッコの勝利への道筋は、終盤に突然現れたものではない。前半からボールを急がず、エル・アイナウィとブアディで中央を受け直し、ハキミとマズラウィを出口にした。ウナヒ、ブラヒム、エル・ハヌスが前を向くと、オランダの3バックは最終ラインを保ちながらも、次に誰へ出てくるかを見続けなければならなかった。

The Nationalでマズラウィは、オランダをFIFAランキング上位の相手、優勝候補になり得る相手と見たうえで、この勝ち方は代表チームにとって大きな認知になると語っている。120分を走った右サイドの選手の言葉は、この試合が単なる番狂わせではなく、2022年の4強以降に積み重ねてきた自己評価の延長にあったことを示している。

後半の早い時間にも、モロッコはゴールへ近づいていた。ウナヒのパスからハキミが抜け出し、エル・ハヌスも左から持ち運んでフェルブルッヘンに止められる。さらにCKからヘディングで枠内へ飛ばす場面もあった。先制される前から、モロッコは単にボールを回すだけでなく、オランダの守備ラインの背中を探していた。

それでも先に点を取られた。72分、ガクポの右足で0-1。流れがそこで切れていれば、保持は記録上の優勢で終わっていた。

だが、モロッコは75分にサラー・エディン、79分にエル・ムラベトとヤシン、86分にラヒミとタルビを入れる。追いつくための交代が、少しずつピッチの左側を動かした。

90+1分の場面は、その交代の答えだった。タルビが左からクロスを上げ、ディオプが中央で合わせる。警告を受けていたセンターバックが、追加時間に相手ゴール前へ入る。守備者が前に残った偶然ではなく、押し込んでいたからこそゴール前に人数をかけられた。モロッコは1-1へ戻し、試合を延長へ運んだ。

延長の入りでも、勢いは消えなかった。106分、サイバリがスルーパスを出し、ラヒミが抜け出す。フェルブルッヘンに止められたため得点にはならない。それでも、ラヒミとタルビという交代選手が同点後も相手の背後を突いていた事実は大きい。モロッコは守り切るためだけに延長へ入ったのではなく、勝ち越しへ向かう一手を探していた。

The Nationalは、PK戦へ向かう前にサイバリも出血でシャツを替える必要があったと伝えている。前半からファン・ヘッケとの接触があり、終盤にはチーム全体が足を使い切っていた。それでも最後の5人目を任されたのはサイバリだった。開始時は最前線に置かれ、延長ではラヒミを走らせ、最後は自分で蹴る。役割は一つに収まらない。

ブヌの仕事も、同じ流れの中で読むと輪郭が出る。前半44分のファン・デ・フェンのシュートを止め、PK戦では相手キッカーに圧をかける。AP配信は、ブヌがサマーフィルのキックを左手で弾いた直後に、サイバリが低く決めたと伝えている。モロッコ側もエル・アイナウィとハキミが失敗しているので、完璧なPK戦ではなかった。それでも、ラヒミ、タルビ、サイバリが決めた。

数字もこの流れを支える。保持率69%、PMSRの拡張ポゼッション61.4%、パス成功813本。数字は主役ではないが、終盤にディオプがゴール前へ入るだけの押し込みが続いていたことを補強する。

AP配信でウアビ監督は、モロッコがピッチで全てを出す時、神が報いてくれると語った。別の言葉では、誰も止められないと自分たちに言い聞かせる必要があるとも話している。その言葉は抽象的な気合いではなく、ブヌ、ディオプ、タルビ、ラヒミ、サイバリが別々の時間帯で仕事をした試合と結びつく。モロッコは長い保持だけで勝ったのではなく、最後まで耐えた時間と交代後の前進をPK戦へつないだ。

図解
モロッコが保持、同点弾、PK戦をつないだ道筋

69%保持、90+1分ディオプ、ブヌのPK戦、サイバリの5本目が勝ち上がりを作った。

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次戦カナダ戦へ。保持と背後管理が焦点になる

PK戦の最後に立ったサイバリは、単なる最後のキッカーではない。The Nationalは、彼がオランダのPSVでプレーしていることにも触れている。クラブではオランダのサッカーを日常の中で知る選手が、代表ではモロッコの5人目を任され、低く蹴って勝ち上がりを決めた。シャツを脱いで叫び、仲間に囲まれた場面は、この試合の感情を一つにまとめていた。

その前に、ブヌがいた。AP配信とAl Jazeera/AFPはいずれも、ブヌがサマーフィルのキックを止めたことを決定的な場面として伝えている。モロッコはエル・アイナウィとハキミが外していた。つまり、PK戦は一方的な成功ではない。互いに揺れた中で、最後にGKと5人目のキッカーが踏みとどまった。

カナダ戦を見る時は、まずモロッコがどの時間帯でボールを持てるかを見たい。オランダ戦では、追いかける展開でも中央と外の出口を失わなかった。次は、同じ保持を相手陣内で先に使えるかが問われる。サイバリが前線で収める時間、エル・アイナウィとブアディが後ろから支える距離、ハキミとマズラウィが高く出るタイミングが、攻撃の形を決める。

終盤の印象も、モロッコ寄りだった。ディオプが左から入り、90+1分に同点へ届く前から、オランダは自陣で受ける時間が増えていた。チャンスの量を細かく見る時は表に戻ればよい。本文で大切なのは、モロッコが保持と交代選手の前進を同じ流れに乗せ、PK戦へ向かう前に試合の重心を戻していたことだ。

提供元が違っても、試合の向きは同じだった。オランダはガクポの得点で先行したが、試合全体の保持と前進量ではモロッコに譲った。モロッコは長く動かし、終盤に交代選手を使って左から押し込み、90+1分に戻した。PK戦は最後の決着だが、そこだけで勝ち負けを説明すると、120分の流れを見落とす。

モロッコの次戦は、ヒューストンで行われるカナダ戦である。AP配信は、モロッコが2022年大会のグループステージでもカナダを破っていたことに触れている。その記憶も、カナダ戦を読む材料になる。ただし、焦点は過去の勝敗より、オランダ戦で作った保持をカナダの縦への速さと背後への走りにどうつなげるかだ。まず先に押し込める時間を作れるかで、試合の入り方は大きく変わる。

オランダ戦では、エル・アイナウィとブアディが中央を支え、ハキミとマズラウィが左右の出口になった。カナダ戦でも同じように持てるなら、次は追いつくためではなく、先に相手を動かすためにその保持を使いたい。特にサイバリが最前線で受ける時間、タルビやラヒミのような途中投入がどの時間帯で入るかは、試合の傾きを変える。

相手が前へ出てくる時間帯に、ブヌから最初のパスをどこへ逃がすかも見どころになる。中央で詰まれば、オランダ戦のような長い保持は作れない。外へ出せれば、ハキミやマズラウィの前進がまた試合を動かす。

もう一つの焦点は、保持を失った直後の反応である。オランダ戦では、モロッコが長く持つ時間を作れた一方、延長のラヒミの抜け出しのように縦へ出る場面もあった。カナダ相手には、持った後に失った瞬間の戻り方がより重要になる。ハキミとマズラウィが高く出るなら、その背後を誰が埋めるかも次の焦点になる。

オランダ側には、開始時配置の選択と攻撃量の問題が残る。外の高さは作った。ガクポの得点もあった。だが、少ないシュートで延長まで進み、PK戦に入る前に勝ち切る道を広げられなかった。モロッコは、保持から同点弾へ、延長の決定機へ、そしてPK戦へつないだ。この結果は、最後のキックだけでなく、試合中に積み上げた小さな優勢が決着へ届いたスコアだった。

図解
1-1とPK2-3から見える次の論点

モロッコはカナダ戦へ。オランダは3-4-3と攻撃量を検証して大会を終えた。

参照元

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