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試合レビュー

スペイン1-0ポルトガル。90+1分メリーノでベルギー戦へ

W杯26ラウンド16、スペイン対ポルトガルは1-0。90+1分のミケル・メリーノ、公式4-1-2-3対4-2-3-1、PMSR、ロナウドの区切り、準々決勝ベルギー戦の見どころを整理する。

大会

ステージ

ラウンド16
スペインがポルトガルを1-0で下したW杯26ラウンド16の試合レビュー用サムネイル
AI生成イメージ / J Football Hub / 画像はAI生成によるイメージです
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メリーノの一撃で開いた出口

ダラスの午後、スペインとポルトガルは早くから互いの弱点を突き合った。結果はスペイン一対〇ポルトガル。

FIFAの公式ホーム表記ではポルトガル側がホームで、会場はDallas Stadium。観客は七万人を超えた。

現地七月六日の昼、日本では七月七日の早朝に始まった決勝トーナメント初戦である。

決勝点は後半追加タイムだった。ロドリの再開からファビアン・ルイス、フェラン・トーレスへつながり、フェランが右内側から縦へ通す。終盤にダニ・オルモと交代して入ったミケル・メリーノが、左足でニアへ低く打ち込んだ。ディオゴ・コスタはこの試合で何度もスペインを止めていたが、最後の一撃だけは届かなかった。

得点時間だけを見れば鮮やかな終盤弾だが、流れとしては準備された一点だった。スペインは再開を急ぎ、ポルトガルが守備の立ち位置を整える前に中央から右内側へ動かした。メリーノも、ただ待っていたのではない。中盤から少し遅れて入ることで、相手CBの視界の外から最後の場所へ届いた。この一瞬が、長い均衡をほどいた。

ただ、スコアレスのまま終盤へ入った試合を「耐えて最後に一発」とだけ読むと、内容を小さくしてしまう。立ち上がりにオヤルサバルが枠へ飛ばし、続いてオルモの準備から再びオヤルサバルが左足で狙った。前半の途中にはヤマルのシュートとバエナの続く一撃をコスタが止める。スペインは早い時間から、右で相手を引きつけ、左と中央で仕留める形を探していた。

ポルトガルも黙っていない。前半早い時間にロナウドがウナイ・シモンと向き合い、右足で強く打つ。さらにネトのクロスからロナウドがシュートへ入り、四十分にはヌーノ・メンデスの強烈な左足がクロスバーを叩いた。試合の主導権は一方に固定されず、スペインの保持とポルトガルの縦が何度も入れ替わる。

隣国対決らしい温度もあった。両チームは同じようにボールを大事にしながら、得意な場所が少し違う。スペインはロドリを支点に列を越え、ヤマルで外を固定し、最後に中盤からもう一人を入れる。ポルトガルはヴィティーニャとブルーノで中央の角度を作り、ロナウドへ届く瞬間を待つ。似た思想を持つチーム同士だからこそ、片方が完全に押し切る時間は長くなかった。

GKの存在も試合を細くした。コスタは前半にヤマルとバエナを止め、後半にもバエナやヤマルのFKへ反応した。ウナイ・シモンもロナウドの決定機を防ぎ、クロス処理で慌てない。得点が90+1分まで生まれなかったのは、攻撃が弱かったからではない。互いのGKと最終ラインが、失点になりそうな場面を先に消していた。

前年のUEFAネーションズリーグ決勝でスペインがポルトガルにPK戦で敗れていたことも、背景として残る。あの試合とは大会もメンバーの状態も違うが、同じ相手に同じような拮抗を強いられ、今回は延長へ入る前に決着をつけた。90+1分のゴールには、単なるリベンジ以上に、同じ質の相手へ最後の一手を変えた意味があった。

この一戦には、ロナウドの最後のワールドカップという文脈も重なった。大会前に本人が区切りを示していたから、敗戦後の表情は大きく切り取られる。それでも試合そのものは、別れの物語だけでは終わらない。ロドリが中央を整え、ヤマルが右から揺さぶり、ラポルテとクバルシが最後まで距離を保つ。スペインは無失点を続けながら、終盤の交代で勝ち切った。

準々決勝の相手はベルギー。アメリカを大差で下して勝ち上がってきたチームである。スペインにとって、この一対〇は守りの成功であり、同時にベンチの深さを示した試合だった。後半追加タイムに生まれた出口が、ロサンゼルスでの次の九十分へつながっている。

図解
スペイン 1-0 ポルトガル 主要な試合経過

主要な試合経過

ポルトガルは前半に好機を作ったが、スペインが終盤の交代から90+1分にメリーノで勝ち切った。

ESP 1-0 POR

スペイン
ESP
ポルトガル
POR
  1. 11'
    POR決定機

    クリスティアーノ・ロナウド

    ロナウドが右足で強く打ったが、ウナイ・シモンがセーブ。

    ESP 0-0 POR

  2. 40'
    POR決定機

    ヌーノ・メンデス

    左足の強烈なシュートがポロに触れてクロスバーを叩いた。

    ESP 0-0 POR

  3. 85'
    ESP交代

    スペイン交代策

    75分のフェラン投入に続き、メリーノとファビアンを入れて終盤の角度を変えた。

    ESP 0-0 POR

  4. 90+1'
    ESP得点

    ミケル・メリーノ

    フェラン・トーレスの縦パスから、左足でニアへ決めた。

    ESP 1-0 POR

  5. 90+6'
    POR決定機

    ベルナルド・シルバ

    終盤にヘディングで同点を狙ったが、枠を越えた。

    ESP 1-0 POR

PMSRと主要報道をもとに、ロナウドの決定機、ヌーノのクロスバー、スペインの交代、90+1分のメリーノを5項目で整理する。

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公式配置。中盤の噛み合わせを読む

配置を先に確認すると、この試合の読み違えを避けやすい。FIFA Calendar APIとFIFA Training Centre PMSRでは、公式ホームはポルトガル、公式アウェイはスペイン。Tacticsはポルトガルが二列目三枚型、スペインがアンカーを置く三トップ型だった。本稿の表示は勝者を前に置いてスペイン対ポルトガルとするが、図の根拠は公式ホーム/アウェイを分けて扱っている。この区別を置くことで、スコア表記と布陣根拠が混ざらない。

スペインはGKウナイ・シモン。最終ラインは左からマルク・ククレジャ、アイメリク・ラポルテ、パウ・クバルシ、ペドロ・ポロ。アンカーにロドリ、インサイドにペドリとダニ・オルモが入り、前線は左アレックス・バエナ、中央ミケル・オヤルサバル、右ラミン・ヤマルだった。前の3人が横幅を作り、ロドリが後ろで受け直す構造である。

ポルトガルはGKディオゴ・コスタ。4バックはヌーノ・メンデス、ヘナト・ヴェイガ、ルベン・ディアス、ジョアン・カンセロ。中盤はヴィティーニャとジョアン・ネヴェス、2列目はジョアン・フェリックス、ブルーノ・フェルナンデス、ペドロ・ネト、最前線にロナウドが入った。ブルーノが中央で受け、ネトとフェリックスが外から前進し、ロナウドがCBを固定する形だった。

この噛み合わせで大事だったのは、ロドリの周囲を誰が見るかである。ポルトガルはブルーノが前へ出ればロドリを背中側から抑えられるが、出すぎるとペドリとオルモの受ける場所が空く。ヴィティーニャとジョアン・ネヴェスが横へ広がれば、ヤマルやバエナの内側が空く。スペインはそこを急がず、短いパスと外の固定で相手の二列目を少しずつ動かした。

ポルトガル側から見れば、ネトとフェリックスの戻り方が重要だった。ククレジャとポロが高く入るため、両ウイングが守備に遅れると、スペインのSBが簡単に前を向く。反対に戻りすぎると、ロナウドへの距離が遠くなる。ネトはククレジャの上がりを気にしながらプレーし、フェリックスは左から内側へ入るタイミングを探した。ここに、保持と守備の難しいバランスがあった。

PMSRの先発表では、スペインの前線と中盤に交代時刻も残る。バエナが先に退き、続いてオルモとペドリ、最後にオヤルサバルが下がった。つまりデ・ラ・フエンテ監督は、前線を一気に崩すのではなく、左、右内側、中央の順で少しずつ性質を変えた。図を開始配置に限定するのは、この変化を混ぜないためでもある。

図は開始配置だけを示す。ヌーノ・メンデスが負傷交代し、ネルソン・セメドが入った後、ポルトガルはジョアン・フェリックス、ジョアン・カンセロ、ペドロ・ネト、ヴィティーニャも下げていく。ラファエル・レオン、ディオゴ・ダロト、ベルナルド・シルバ、フランシスコ・コンセイソンが入ったことで、後半途中からのポルトガルは、開始時の左サイドとは別の顔を持っていた。

スペインもバエナを下げてフェラン・トーレスを入れ、さらにオルモとペドリをメリーノ、ファビアン・ルイスへ替えた。ここで三トップ型の線が少し変わる。ヤマルの外、フェランの斜め、メリーノの中盤からの入り直しが同時に残り、相手が延長を意識し始めた時間に、新しい走力とパスの角度を入れられた。

フォーメーション表は試合を固定するためのものではない。開始時の骨格を置き、その後にどこが動いたかを確認するための地図である。スペインは同じ構造を保ったように見えて、終盤に人の性質を変えた。ポルトガルは二列目三枚型の枠を残しつつ、負傷交代とレオン投入で左の進み方を変えた。その細い差が、後半追加タイムの通り道になった。

図解
公式開始配置。スペイン4-1-2-3、ポルトガル4-2-3-1

公式記録確認済みです。スペイン 4-1-2-3、ポルトガル 4-2-3-1を示します。詳細は折りたたみで確認できます。

公式スタメン配置

開始配置に基づく。ポルトガルの56分以降の左サイド変更、スペインの75分と85分の交代後配置とは分けて読む。

スタメン一覧を表示

スペイン代表

4-1-2-3

  • 背番号23 ウナイ・シモン
  • 背番号24 マルク・ククレジャ
  • 背番号14 アイメリク・ラポルテ
  • 背番号22 パウ・クバルシ
  • 背番号12 ペドロ・ポロ
  • 背番号16 ロドリ
  • 背番号20 ペドリ
  • 背番号10 ダニ・オルモ
  • 背番号15 アレックス・バエナ
  • 背番号21 ミケル・オヤルサバル
  • 背番号19 ラミン・ヤマル

ポルトガル代表

4-2-3-1

  • 背番号1 ディオゴ・コスタ
  • 背番号25 ヌーノ・メンデス
  • 背番号13 ヘナト・ヴェイガ
  • 背番号3 ルベン・ディアス
  • 背番号20 ジョアン・カンセロ
  • 背番号23 ヴィティーニャ
  • 背番号15 ジョアン・ネヴェス
  • 背番号11 ジョアン・フェリックス
  • 背番号8 ブルーノ・フェルナンデス
  • 背番号18 ペドロ・ネト
  • 背番号7 クリスティアーノ・ロナウド

FIFA Calendar APIとPMSRに基づく公式スタメンの開始配置。負傷交代や終盤の交代後とは分けて読む。

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スペイン視点。交代が最後の一歩を足した

スペインの勝利を考えるとき、最初に目に入るのはメリーノの得点である。ただ、その一撃へ向かう準備は前半から始まっていた。ヤマルは右に張り、ジョアン・ネヴェスやヌーノ・メンデスを内外へ引っ張る。バエナは左のハーフスペースからシュートへ入る。オヤルサバルは中央で留まり過ぎず、少し下がってからもう一度ゴール前へ入った。

スペインが特に効かせたのは、ヴィティーニャへの圧力だった。ポルトガルは後方から前へ進むとき、ヴィティーニャの受け直しでテンポを作りたい。そこにロドリ、ペドリ、オルモが距離を詰め、簡単に前を向かせない。Houston Chronicleも、スペインがヴィティーニャを抑えたことでジョアン・ネヴェスに余白が出た一方、ブルーノやロナウドの関与が薄くなったと整理している。

攻撃では、得点前からコスタを動かしていた。前半のヤマルの左足、続くバエナのシュート、後半のバエナの低い一撃、ヤマルのFK。どれも決まらなかったが、GKに「次も飛ぶ」と思わせる材料になった。コスタが好調だったから試合は長くスコアレスで進んだが、スペイン側に何もないまま待っていたわけではない。

ヤマルの幅取りも効いていた。右タッチライン近くで受ける時間が長く、派手に中へ切り込む場面ばかりではなかったが、そこにいるだけでヌーノ・メンデスとジョアン・ネヴェスの視線を外へ向けられる。すると中央のペドリ、オルモ、ロドリに半歩の余裕が生まれる。若い個人技だけでなく、相手を外へ貼り付ける役割としても大きかった。

オヤルサバルの仕事も見逃せない。得点者にはならなかったが、前半早々からシュートへ入り、CBの間で相手を背負い、時には一列下がってパスの出口になる。メリーノが最後に中盤からゴール前へ入れたのは、オヤルサバルがそれまで中央で相手CBを動かしていたからでもある。先発の仕事が、交代選手の決定機を準備した。

ファビアン・ルイスの投入も、目立たないが効いている。ペドリが作っていた左内側の循環を受け継ぎながら、より縦へ押し出すパスを選べる。決勝点の直前も、再開後の短い連係にファビアンが入り、ロドリとフェランをつないだ。スペインは最後の局面で、若い推進力だけでなく、ボールを失わずに相手の足を止める選手を足していた。

メリーノの価値は、背の高さや走力だけではない。代表では途中出場からでも試合の温度へ早く入れる選手で、ゴール前に入るタイミングを持っている。相手がFWやウイングを警戒している時間に、中盤の選手が遅れて届く。その少しの遅れが、ポルトガルの守備の目線を外した。終盤向きの武器だった。

ルイス・デ・ラ・フエンテ監督の交代も、単なる疲労対策ではなかった。75分にフェランを入れると、右から斜めに走る選手が増える。85分にメリーノとファビアンを入れると、中盤の高さとボックスへの入り方が変わる。延長を考えれば守備の安定も必要だが、スペインは引き分けへ向かう交代ではなく、最後に前へ出る交代を選んだ。

後半追加タイムの場面は、その交代の答えだった。ロドリが早く再開し、ファビアンが関わり、フェランが縦へ出す。メリーノは相手CBの背後に消えるのではなく、GKの読みを外す角度へ入った。左足のシュートは強烈な弾道ではない。だが、近いポストへ低く通す判断が正確だった。

メリーノは代表での直近の得点ペースも良く、終盤に入って得点へ届く中盤として価値を示している。スペインが強いのは、ヤマルやロドリだけで勝つチームではないところだ。先発が作った緊張を、途中出場の選手が引き継ぎ、少しだけ違う角度で崩す。一点差の小さなスコアの中に、チーム全体の厚みが見えた。

図解
スペインの勝ち筋。圧力、交代、90+1分

ヴィティーニャへの圧力、フェランとメリーノ投入、決勝点の流れを短く整理する。

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ポルトガル視点。ロナウドとレオンが残した余白

ポルトガルは敗れたが、前半の危険度は十分にあった。序盤、ロナウドが右足でウナイ・シモンを強襲する。さらにネトの深いクロスからロナウドがもう一度ゴール前へ入った。四十分にはヌーノ・メンデスが左足で振り抜き、ボールはポロに触れてクロスバーを叩いた。スペインが保持で優位に立っていた時間でも、ポルトガルは一度の前進で試合を傾けられる怖さを持っていた。

その前進を支えていたのがヌーノ・メンデスだった。左からスピードを出し、ククレジャの背後へ走る。ところが後半の立ち上がり、同じサイドを走った直後に負傷し、ネルソン・セメドと交代する。右サイドを本職とする選手を左で使う形になり、ポルトガルの左の勢いは一度落ちた。ここは試合の小さな分岐点だった。

ブルーノ・フェルナンデスの静けさも、ポルトガルには痛かった。中央で前を向ければ、ロナウドへの早い縦パス、ネトへの展開、ミドルシュートの三つを同時に持てる。だがスペインはロドリ周辺を閉じ、ペドリとオルモが背中側を消した。ブルーノが低い位置まで下がると、今度はロナウドとの距離が遠い。ポルトガルの攻撃は、個人の質がありながらも、最後の一本を太くできない時間が続いた。

それでもマルティネス監督は、試合を投げていない。カンセロとフェリックスを下げてダロトとレオンを入れた交代は、右の守備を整えつつ、左で一対一を作る狙いが見えた。終盤にベルナルドとフランシスコ・コンセイソンを加えた後は、右内側で受ける選手と外で仕掛ける選手が増えた。最後の時間帯でポルトガルが押し返せたのは、その交代の効果でもある。

悔やまれるのは、良い時間帯が断続的だったことだ。ロナウドの好機、ヌーノ・メンデスの一撃、レオン投入後の推進力は、それぞれ強い場面だった。だが三つが同時に重なる時間は長くない。左が進めば中央の距離が空き、中央で受けようとすればスペインの圧力が来る。ポルトガルは勝ち筋を複数持ちながら、それを一本の流れに束ねきれなかった。そのため、最後は個の迫力があっても、同点の形が単発になった。

レオンが入ると、また別の前進が生まれた。レオンは左から縦へ運び、相手を一枚ずつ剥がす。Houston Chronicleは、レオンがサイドで何度もデュエルを制した一方、最後のタッチまでは届かなかったと整理している。スペインの守備が崩れたわけではないが、レオン投入後の数分には、ポルトガルが延長へ向けて相手を押し戻せる気配もあった。

ロナウドについては、結果だけで語るのが難しい。六大会連続のワールドカップに立ち、中央でラポルテとクバルシを固定し続けた。前半の複数のシュートは得点に近かったし、相手CBを引きつける存在感も残っていた。ただ、ブルーノ・フェルナンデスの関与が増えず、ヴィティーニャが自由に前を向けない時間が長くなると、ロナウドへ届くボールは細くなる。

終盤のポルトガルは、レオン、ベルナルド・シルバ、フランシスコ・コンセイソンを入れて、外と内の両方から押し返した。ベルナルドのヘディングは上へ外れ、最後にはジョアン・ネヴェスも頭で合わせたが枠を捉えられなかった。失点後の時間は少なかったが、反撃の材料はあった。

だからこそ、この敗戦は「何も作れなかった試合」ではない。PMSRでもポルトガルは一定数のシュートとxGを残した。スペインに比べれば最後の精度は足りなかったが、前半のロナウド、ヌーノ・メンデスの一撃、レオン投入後の推進力は、勝敗が細部で揺れていたことを示す。別れの感情は大きい。それでも、ピッチ上では最後まで試合として成立していた。敗退の痛みを一人の名前へ閉じ込めず、作れた時間と届かなかった最後を並べると、輪郭はよりはっきりする。

図解
ポルトガルの惜敗。左と中央の決定機

ロナウドのシュート、ヌーノ・メンデスのクロスバー、レオン投入後の前進を整理する。

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PMSRと次戦。ベルギー戦へ持ち越す問い

PMSRの数字は、スペインの一対〇が偶然の一点ではなかったことを補強する。保持の内訳、xG、シュート数、枠へ飛ばした回数のいずれでも、スペインはポルトガルを少しずつ上回った。差は大きくない。だがノックアウトの拮抗した試合では、その少しの差が終盤の判断へ影響する。

ラインブレイクも差が出た。スペインは中央でロドリが受け直し、右でヤマルとポロ、左でバエナとククレジャを使い、相手の背後だけでなくライン間へも入った。ポルトガルはボール進行では十分に前へ運べたが、最後に受ける場所の数ではスペインに届かなかった。

守備の数字も見逃せない。スペインは奪い返しの数で優位に立ち、直接圧力でもポルトガルを上回った。むやみに追い回すより、ロドリ周辺とサイドの受け手へ狙いを絞って回収していた。六試合連続無失点という記録は、GKの好守だけではなく、奪い返す場所の設計から生まれている。

走行距離も文脈を添える。数字だけで優劣を決めるものではないが、終盤にフェラン、メリーノ、ファビアンが入ってからも、スペインは中央の圧力を落とさなかった。延長を待つのではなく、延長へ入る前に勝ち切るだけの走力をベンチから追加したことが、決勝点の場面に結びついた。

ポルトガル側はセカンドボールの反応で十分に戦えていた。差が出たのは、拾った後にどこへ運ぶか、そして最後の受け手がどれだけゴールに近いかだった。ベルギー戦を控えるスペインにとって、この「拾った後の一歩」を相手に許しすぎないことは、次の守備テーマになる。

もう一つは、終盤のカード管理である。ベルナルド・シルバの警告が示すように、試合が伸びるほど中盤の接触は増える。スペインはリード後の数分を、ファウルで切るのではなく、ラインの距離とクリアの判断で終えた。ベルギー戦で同じように終盤へ入るなら、試合を止める場所と、止めずに運ばせない場所の判断がさらに問われる。

次はベルギーである。FIFAカレンダーでは準々決勝は現地七月十日の昼、Los Angeles Stadium。日本時間では七月十一日の早朝に予定されている。ベルギーはアメリカに快勝して進んだ。スペインがポルトガル戦で見せたサイドバックの攻撃参加は強みだが、ベルギー相手には、その背後をどう閉じるかがさらに大きくなる。

ベルギーは奪った後、前線へ早く届ける場面を増やして勝ち上がってきた。スペインがポルトガル戦で見せた高い位置の回収は武器になる一方、失えば外から一気に走られる危険もある。ロドリが最初の戻りをどこで決め、ラポルテとクバルシが横へ引き出されすぎないか。ここは次戦の焦点になる。

同時に、スペインがどこまで我慢してボールを動かせるかも見たい。ポルトガル戦では焦れてロングボールへ逃げず、交代後も短い距離を保った。ベルギーの圧力が強まる時間に、その落ち着きを再現できれば、終盤の一手をまた残せる。一点を争う試合ほど、この遅らせ方が攻撃の準備にもなる。

見るポイントは三つある。

まず、ククレジャとポロが高く出た後、ロドリとCBが外へずれすぎず守れるか。

次に、ヤマルが右で相手を引きつけた後、フェランやメリーノが内側で受ける形をもう一度作れるか。

最後に、終盤の交代で試合の速度を上げられるか。ポルトガル戦の決勝点は、まさにこの三つが重なった場面だった。

スペインは一対〇で勝ったが、余裕の勝利ではない。コスタに止められ、ロナウドに脅かされ、ヌーノ・メンデスにバーを叩かれた。それでも最後まで無失点で残し、交代選手が仕留めた。ベルギー戦は、より速く、より直接的な相手との試合になる。この一対〇で得た答えを、次の相手の速度に合わせて更新できるか。準々決勝の楽しみは、そこにある。

図解
次戦ベルギー戦。速さへの回答

スペインは準々決勝で、Los Angeles Stadiumのベルギー戦へ進む。

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