本文へ移動
試合レビュー

モロッコはなぜ4-2でひっくり返せたのか。二度追った前半とラヒミ投入で読む突破

W杯26グループC最終節、モロッコ 4-2 ハイチ。10分ブヌOG、39分ハキミ、43分イシドール、45+1分サイバリ、78分ラヒミ、89分ジェシム・ヤシンまでを出典別スタッツと公式4-2-3-1対4-4-2で整理する。

大会

ステージ

グループステージ
モロッコがハイチに4-2で勝利したW杯26グループC最終節のスコア入り試合レビュー用サムネイル
AI生成イメージ / J Football Hub / 画像はAI生成によるイメージです
1 / 5記事ページ

2-2の前半。モロッコは何を追いかけたか

FIFAワールドカップ26のグループC最終節で、モロッコはハイチに4-2で勝った。会場はアトランタ・スタジアム。現地時間2026年6月24日18:00、日本時間では6月25日7:00開始だった。FIFAフルタイム・マッチレポートでは観客数は6万8239人、前半は2-2、最終スコアはモロッコ4-2ハイチである。得点は10分にヤシン・ブヌのオウンゴール、39分アクラフ・ハキミ、43分ウィルソン・イシドール、45+1分イスマエル・サイバリ、78分ソフィアン・ラヒミ、89分ジェシム・ヤシンという流れだった。

試合の入り口は、モロッコにとってかなり厄介だった。10分、ハイチの攻撃からモロッコ側の触ったボールがゴールへ入り、公式記録ではブヌのオウンゴールとして扱われた。すでに敗退が決まっていたハイチが0-1で前へ出たことで、モロッコは勝てば突破を固める試合を、早い時間から追いかける形に変えられた。スポーツナビの20分時点ではシュート3本対2本、xGは0.41対0.52で、点差ほど単純にモロッコが支配していたわけではない。

それでも、モロッコは慌てて縦へ急ぎ続けたわけではない。ハキミの右からの進入、エル・カンヌスとサイバリの近い距離、エル・アイナウィとアムラバトの受け直しで、徐々にハイチを押し込んだ。39分、左からエル・カンヌスが持ち上がり、クロスがデュヴェルンに当たった後、こぼれ球にハキミが反応した。右SBが中央で左足を振り、1-1に戻す。この時点でモロッコの圧力は数字にも出ており、スポーツナビの40分時点ではシュート9本対3本、枠内4本対0本だった。

しかし、前半はそこで終わらない。43分、ベルガルドの持ち運びからデュヴェルンが左へ関わり、イシドールがペナルティエリア手前から右足でゴール左上へ決めた。ハイチが1-2と再びリードする。モロッコは前半の追加時間にもう一度返し、45+1分にハキミの右からのクロスへサイバリが合わせて2-2にした。前半だけで4点。モロッコは二度追わされたが、同時に、点差を残さず後半へ入るだけの攻撃量も示した。

FIFAのハーフタイム表記は2-2で、前半追加時間は5分だった。これは単なる数字ではなく、後半の見取り図を変えた。モロッコは1点を追ってロッカールームへ戻るのではなく、同点のまま、保持と交代策を落ち着いて選べる状態で後半へ入った。ハイチは前半の成果を持ちながらも、残り45分を守り切るにはもう一度ボールの逃がし方を作る必要があった。

図解
モロッコ 4-2 ハイチ 主要な試合経過

主要な試合経過

ハイチが10分と43分にリードしたが、モロッコは39分ハキミと45+1分サイバリで追いつき、78分ラヒミ、89分ジェシム・ヤシンで4-2にした。

MAR 4-2 HAI

モロッコ
MAR
ハイチ
HAI
  1. 10'
    HAIOG

    ヤシン・ブヌのオウンゴール

    ハイチの攻撃からモロッコ側の触ったボールが入り、公式記録ではブヌのオウンゴール。

    0-1

  2. 39'
    MAR得点

    アクラフ・ハキミ

    こぼれ球に反応したハキミが中央から左足で同点弾を決める。

    1-1

  3. 43'
    HAI得点

    ウィルソン・イシドール

    ベルガルドの持ち運びから、イシドールがペナルティエリア手前で右足を振り抜く。

    1-2

  4. 45+1'
    MAR得点

    イスマエル・サイバリ

    ハキミの右からのクロスにサイバリが合わせ、前半のうちに追いつく。

    2-2

  5. 70'
    MAR交代

    モロッコ3枚替え

    サイバリ、ブラヒム、エル・カービを下げ、ラヒミ、ウナヒ、ジェシム・ヤシンを投入。

    2-2

  6. 78'
    MAR得点

    ソフィアン・ラヒミ

    途中出場のラヒミが中央から右足で決め、モロッコがこの試合初めてリードする。

    3-2

  7. 89'
    MAR得点

    ジェシム・ヤシン

    ラヒミの関与からジェシム・ヤシンが4点目を決め、試合を閉じた。

    4-2

  8. 試合終了

    試合終了

    モロッコが4-2で勝ち、勝点7でグループC突破を決めた。

    4-2

スタッツ表を表示
FIFAフルタイムレポート 基本スタッツ
FIFAフルタイムレポート 基本スタッツ
指標モロッコハイチ
CK91
警告03
PMSR 技術スタッツ
PMSR 技術スタッツ
指標モロッコハイチ
ポゼッション60.1%31.5%
敵陣3分の1での受球15740
ボールロスト誘発3850

10分ブヌのオウンゴール、39分ハキミ、43分イシドール、45+1分サイバリ、78分ラヒミ、89分ジェシム・ヤシンまでを整理したタイムライン。

2 / 5記事ページ

公式配置を読む。モロッコ4-2-3-1、ハイチ4-4-2

FIFAの更新版タクティカル・ラインアップでは、モロッコの公式初期配置は4-2-3-1である。GKはブヌ。最終ラインは左からアナス・サラーエディン、シャディ・リアド、レドゥアン・ハルハル、ハキミ。中盤の底にエル・アイナウィとソフィアン・アムラバトが並び、2列目はエル・カンヌス、サイバリ、ブラヒム・ディアス。最前線はアユブ・エル・カービだった。スコットランド戦で1点を守ったチームが、この日はボールを持って相手を押し込む役割をより強く求められた。

ハイチの公式初期配置は4-4-2だった。GKはジョニー・プラシード。最終ラインはエクスペリエンス、デルクロワ、アデ、デュヴェルン。中盤はプロヴィデンス、ベルガルド、ダンリー・ジャン・ジャック、カシミールが横並びに近く、前線はレニー・ジョゼフとイシドールである。ブラジル戦の5-4-1から見え方が変わり、2トップで最初の出口を作れる形だった。ベルガルドが持ち運び、イシドールが仕留めた43分は、この4-4-2が単なる撤退ではなかったことを示す。

この配置でモロッコが使った中心は右と中央だった。ハキミは39分の得点者であり、45+1分の公式アシスト者でもある。スポーツナビの速報でも、ハキミが右から持ち運び、クロスやシュートに関わる場面が何度も出てくる。ハイチは左側のデュヴェルンと中盤のプロヴィデンス、ベルガルドが対応するが、ボールが反対側から戻ってくると、最終ラインの前でハキミやサイバリを捕まえ切れない時間が出た。

一方で、モロッコの4-2-3-1は守備の安定だけを示す配置ではない。PMSRではモロッコのFinal Third Receptionsが157、ハイチは40。Completed Line Breaksは124対49で、相手のラインを越えて受ける回数に大きな差がある。ハイチは4-4-2で中央を閉じ、前線に出口を残したが、後半はボールを奪った後に再び前線へ届ける距離が長くなった。フォーメーション名はどちらも整っている。差が出たのは、押し込み続けた後に、どの選手を最後の一手として使えたかだった。

配置上のもう一つの注意点は、両チームの左右である。モロッコはサラーエディンを左、ハキミを右に置き、2列目の左にエル・カンヌス、右にブラヒムを配置した。ハイチは左からエクスペリエンス、デルクロワ、アデ、デュヴェルンで、デュヴェルンは右SBとして出ながら43分の得点にも関わった。守備者がただ守るだけではなく、攻撃の出口になるかどうかが、この試合の図を読むうえで大事になる。

図解
モロッコ 4-2 ハイチの公式初期配置(2026/06/24)

公式記録確認済みです。モロッコ 4-2-3-1、ハイチ 4-4-2を示します。詳細は折りたたみで確認できます。

公式スタメン配置

FIFA公式タクティカル・ラインアップに基づく開始時配置。保持時・非保持時・交代後の変化は本文で補足する。

スタメン一覧を表示

モロッコ代表

4-2-3-1

  • 背番号1 ヤシン・ブヌ
  • 背番号26 アナス・サラーエディン
  • 背番号18 シャディ・リアド
  • 背番号25 レドゥアン・ハルハル
  • 背番号2 アクラフ・ハキミ
  • 背番号24 ニール・エル・アイナウィ
  • 背番号4 ソフィアン・アムラバト
  • 背番号23 ビラル・エル・ハヌス
  • 背番号11 イスマエル・サイバリ
  • 背番号10 ブラヒム・ディアス
  • 背番号20 アユブ・エル・カービ

ハイチ代表

4-4-2

  • 背番号1 ジョニー・プラシード
  • 背番号8 マルタン・エクスペリエンス
  • 背番号5 ハネス・デルクロワ
  • 背番号4 リカルド・アデ
  • 背番号22 ジャン=ケヴィン・デュヴェルン
  • 背番号15 ルベン・プロヴィデンス
  • 背番号10 ジャン=リクネル・ベルガルド
  • 背番号17 ダンリー・ジャン・ジャック
  • 背番号21 ジョスエ・カシミール
  • 背番号16 レニー・ジョゼフ
  • 背番号18 ウィルソン・イシドール

FIFA公式タクティカル・ラインアップをもとにした開始時配置。モロッコは4-2-3-1、ハイチは4-4-2。

3 / 5記事ページ

ハイチ視点。2度リードした前半と、後半に足りなかった出口

ハイチにとって、この4-2の敗戦は単純な大差負けではない。大会初戦はスコットランドに0-1、続くブラジル戦は0-3。そこから最終節で、10分にオウンゴールで先制し、43分にはイシドールが右足で鮮烈なミドルを決めた。52年ぶりの本大会で、チームとして初得点を記録し、さらに流れの中から相手を突き放す2点目まで奪った。スポーツナビの戦評が「少なくないインパクトを世界に残した」と整理したのは、この前半があったからだ。

特に43分の得点は、偶然だけでは片づけにくい。ベルガルドが相手陣中央からドリブルで前進し、左へ運ぶ。そこからデュヴェルンが関わり、リアドに一度処理されても、イシドールがペナルティエリア手前で拾って右足を振った。FIFA公式記録ではデュヴェルンにアシストが付く。ハイチは保持率では劣っていても、2トップと中盤の運びで一度前を向ければ、モロッコの最終ラインの前に強い一撃を打てることを見せた。

ただし後半は、同じ出口を続けられなかった。FIFA通常記録ではシュートはモロッコ23本、ハイチ8本。PMSRのEnhanced possessionではモロッコ60.1%、ハイチ31.5%、争奪中8.4%。さらにモロッコのCrossesは31、ハイチは3で、後半の多くは自陣でクロスとCKを受ける流れになった。ハイチは守備プレッシャー331回、強制ターンオーバー50回と守備の仕事量は大きかったが、奪った後に相手陣へ運ぶ回数は限られた。

交代も出口を取り戻すためのものだった。67分にナゾンとデードソン、80分にアルキュスとドミニク・シモン、83分にピエロが入った。だが、70分にモロッコもラヒミ、ウナヒ、ジェシム・ヤシンを入れ、試合のテンポを再び引き上げた。79分にはプラシード、80分にはナゾン、90+3分にはカシミールに警告が出て、ハイチは守備のぎりぎりの対応が増えていく。前半に世界へ見せた勇気は本物だった。しかし後半に相手の波を受け続けた時間が長すぎた。

プラシードの仕事量も、この後半の苦しさを映している。FIFAのチームサマリーではモロッコの枠内シュートは11本で、ハイチは2本。スポーツナビでもモロッコの枠内は11本とされ、ハイチ側は3本と少し差がある。どちらの提供元でも、プラシードが守るゴールへ届くボールの数は明らかに多い。前半のリードを守るには、GKのセーブだけでなく、シュートになる前に相手を外へ逃がす守備が必要だった。

図解
モロッコが押し返した4つの時間

39分ハキミ、45+1分サイバリ、70分の3枚替え、78分ラヒミを、モロッコ側の試合修正として整理する。

4 / 5記事ページ

モロッコ視点。ハキミ、サイバリ、ラヒミ、ヤシンで閉じる

モロッコの勝利を読むうえで、まず目立つのはハキミである。FIFAの選手別合計では5本のシュート、3本の枠内、1得点、1アシスト。39分の同点弾は、クロスがはね返された後に中央で反応し、左足で沈めた。45+1分には右からクロスを入れ、サイバリの2-2を作った。右SBが得点者にも供給者にもなったことが、モロッコの4-2-3-1を前へ押し出した。

サイバリも大きい。スコットランド戦では開始約70秒で決勝点を決め、このハイチ戦では前半終了間際に同点弾を決めた。前半のモロッコは、2度リードを奪われながらも、39分と45+1分に同点へ戻した。1-2で折り返していれば、後半は追う展開のまま始まっていた。サイバリの得点は単なる2点目ではなく、後半をタイスコアで始めるための心理的な防波堤だった。

後半の決定打は交代選手から出た。70分、モロッコはサイバリ、ブラヒム、エル・カービを下げ、ラヒミ、ウナヒ、ジェシム・ヤシンを入れた。ここで前線の角度と走力が変わる。78分、ラヒミが中央から右足でゴール右上へ決めて3-2。公式アシストはリアドである。スポーツナビの戦評が「今日初めてリードを奪う」と表現したように、この瞬間までモロッコは常に追いつく側だった。ラヒミはそれを初めて勝つ側へ変えた。

89分にはジェシム・ヤシンが4点目を決める。公式アシストはラヒミ。途中出場の2人が最後の2点に絡み、試合を閉じた。数字でも、モロッコの優位は後半に厚くなる。FIFA通常記録は23本11枠内、保持67%、CK9本。PMSRではxG 2.12、最終3分の受け157、ラインブレイク完了124。スポーツナビのxGは2.94で、提供元によって値は違うが、どちらもモロッコが質量ともに上回ったことを示す。守備の不安定さは残った。それでも、追いつく力、押し込む力、交代で決める力を同じ試合で出したことが、4-2の中身である。

前線の入れ替えは、疲れた相手をただ走らせるためだけではなかった。ラヒミは入って8分で得点し、さらに終盤のアシストでスコアを安全圏へ運んだ。公式個人記録でも28分間で2本、1枠内、1得点、1アシストである。ジェシム・ヤシンはエル・カービに代わって中央の終点になり、89分に自分の得点を得た。ウナヒも中盤で受け直し、ハイチの守備が一度跳ね返した後の二次攻撃を支えた。70分の3枚替えは、同点で止まりかけた試合をもう一度モロッコの時間へ戻す操作だった。

図解
ハイチが残した2つの得点

10分のオウンゴール誘発と43分イシドール弾を、ハイチの前半の出口として整理する。

5 / 5記事ページ

グループCを閉じる。モロッコ突破とハイチの残したもの

この4-2で、モロッコはグループCを勝点7で終えた。ブラジル戦は1-1、スコットランド戦は1-0、そしてハイチ戦は4-2。得点は6、失点は3、得失点差は+3である。同日にブラジルもスコットランドを3-0で破り、勝点7、得失点差+6としたため、首位はブラジル、2位がモロッコになった。とはいえ、モロッコは無敗でグループを抜けた。しかも最終節では、追いかける展開から勝ち切る別の顔も見せた。

この試合がモロッコに残した課題もはっきりしている。10分のオウンゴールは不運の要素があるが、43分のイシドール弾は、相手の持ち運びとセカンドボール対応の遅れが絡んだ。スコットランド戦は1点を守ったが、ハイチ戦では前半だけで2失点。ノックアウトステージでは、ハキミやラヒミの攻撃力だけでなく、攻撃後の戻り、中央の締め方、相手の一撃を許す前の距離管理が問われる。勝ったからこそ修正できる材料である。

一方のハイチは3戦全敗で大会を終えた。結果だけを並べれば、0-1、0-3、2-4である。ただ、最終節でようやくスコアボードを動かした意味は小さくない。イシドールのミドル、ベルガルドの持ち運び、デュヴェルンの関与、前半にモロッコを2度追わせた事実は、52年ぶりに戻った本大会の記憶として残る。ブラジル戦後の記事で残した「大会初得点を狙えるか」という問いには、この試合で答えを出した。

グループC全体を見ると、ブラジルとモロッコが勝点7で抜け、スコットランドは勝点3、ハイチは勝点0で終えた。モロッコにとって4-2は、単なる突破決定の数字ではない。前半の揺れを受け止め、後半に交代選手で試合を閉じた、トーナメントへ向かうための実戦テストだった。ハイチにとっては、敗退後の90分で自分たちの得点を残した試合だった。

記事としても、ここは「強いチームが順当に勝った」で終わらせたくない。モロッコは首位ではなく2位で通過したが、ブラジル相手に引き分け、スコットランドを1-0で抑え、最後に逆転勝ちを経験した。ハイチは勝点を取れなかったが、最終節で相手を二度追わせた。勝者と敗者の差は大きい。ただ、この試合には、次へ進むチームの修正点と、去るチームの誇りが同時に刻まれていた。

同時開催の最終節だったことも、この試合の読み方に影響する。モロッコはアトランタで勝ち切り、ブラジルはマイアミでスコットランドを3-0で下した。自分たちの4得点は突破の確定には十分だったが、首位争いでは得失点差が最後に効いた。だからこそ、89分の4点目は試合を安全にするだけでなく、グループ内の数字を少しでも押し上げる意味を持っていた。

図解
グループC最終節後の整理

ブラジルとモロッコが勝点7で突破し、スコットランドとハイチがグループを終えた状況を整理する。

参照元

7

記事情報

AI利用情報

AI生成イメージ

画像クレジット

AI生成イメージ / J Football Hub

次に読む

この記事から続けて読む