本文へ移動
試合レビュー

日本はなぜ1-1でブラジル戦へ進めたのか――前田大然の連動弾、エランガの一撃、鈴木彩艶の終盤セーブ

現地2026年6月25日のW杯26グループF第3戦、日本対スウェーデンは1-1。56分に前田大然が先制し、62分にアンソニー・エランガが同点。最後は鈴木彩艶のセーブで勝点5を守り、日本は2位でラウンド32のブラジル戦へ進んだ。

大会

ステージ

グループステージ
日本がスウェーデンと1-1で引き分け、2位でブラジル戦へ進んだW杯26レビュー用AIイラストサムネイル
AI生成イメージ / J Football Hub / 画像はAI生成によるイメージです
1 / 5記事ページ

1-1の基本情報。勝ちに行き、最後は2位通過を守った90分

日本は、ただ引き分けを取りに行ったわけではない。現地2026年6月25日、ダラスで行われたW杯26グループF第3戦。日本は56分に前田大然のゴールで先制し、62分にアンソニー・エランガの左足で追いつかれた。それでも1-1を崩さず、勝点5の2位でラウンド32へ進んだ。次の相手はブラジルである。

試合前の条件は明快だった。日本はオランダ戦を2-2、チュニジア戦を4-0で終え、引き分け以上なら2位以内を確定できる。スウェーデンはチュニジアに5-1で勝った一方、オランダには1-5で敗れていた。日本に勝てば順位を入れ替えられる。だからこの試合は、最初から「守って終わる」試合ではなかった。日本は勝ちに行き、スウェーデンも勝ちに来た。

試合の会場はダラス・スタジアム。開催地では6月25日、日本時間では6月26日の試合として扱う。時差があるため、記事では現地日付と日本時間を混ぜず、試合そのものは現地6月25日のグループF第3戦として整理する。日本にとっては、初戦オランダ戦の2-2、第2戦チュニジア戦の4-0に続く、順位を決める90分だった。

1-1は、三つの局面に分けると見えやすい。前半から56分まで、日本がどうやって前田の先制点へたどり着いたか。62分、エランガの同点弾で何が変わったか。そして終盤、鈴木彩艶がどうやって日本の2位通過を守ったかである。

スコアだけなら引き分けでも、時系列では何度も重心が動いた。56分に日本が1-0とし、62分に1-1へ戻された。65分にはイサクの決定機を鈴木が止め、90+3分にもイサクのヘディングをバーへ逃した。日本は最後の最後まで2位通過を失う可能性と向き合っていた。だからこの試合は、結果を守った試合であると同時に、先に取りに行った試合でもある。

PMSRのポゼッション内訳は、日本44.7%、争奪中10.7%、スウェーデン44.6%。シュートは日本8本、スウェーデン11本だった。日本は56分に先に動かしたが、同点後はスウェーデンが枠内へ迫る場面を増やした。だからこそ、65分と90+3分の鈴木彩艶の対応が、2位通過を守る決定的な意味を持った。

日本は勝点5でグループFを終え、スウェーデンは勝点4で3位通過になった。勝点1の差だけを見ると細い差に見えるが、その差を作ったのがこの90分の中の数場面だった。前田の56分、エランガの62分、鈴木の65分と90+3分。次ページ以降では、この四つを配置、先制点、同点後の対応、ブラジル戦への持ち越しに分けて読む。

タイムライン図では、全イベントの一覧ではなく、32分の警告、37分と39分の早い交代、56分と62分の得点、65分と90+3分のセーブに絞る。1-1がどこで動き、どこで守られたかを追うと、日本が何を持ってブラジル戦へ進んだのかが見えやすくなる。

図解
日本 1-1 スウェーデンの転機

主要な試合経過

日本は56分に前田大然が先制。62分にエランガが追いつき、終盤は鈴木彩艶のセーブで1-1を残した。

日本 1-1 スウェーデン

日本
JPN
スウェーデン
SWE
  1. 32'
    SWE警告

    イサク・ヒエン

    ヒエンが警告を受け、スウェーデンの後方に早い時間から負荷がかかった。

    日本 0-0 スウェーデン

  2. 37'
    SWE交代

    イサク・ヒエン → ルーカス・ベルグヴァル

    ヒエンの負傷交代でベルグヴァルが入り、スウェーデンは開始配置から早く調整した。

    日本 0-0 スウェーデン

  3. 39'
    JPN交代

    板倉滉 → 谷口彰悟

    日本も前半のうちに板倉から谷口へ交代し、後方の基準を組み直した。

    日本 0-0 スウェーデン

  4. 56'
    JPN得点

    前田大然

    堂安の右からのボール、上田の戻しを経て、前田が中央で先制点を決めた。

    日本 1-0 スウェーデン

  5. 62'
    SWE得点

    アンソニー・エランガ

    ギェケレシュの関与からエランガが左足で同点弾を決めた。

    日本 1-1 スウェーデン

  6. 65'
    SWE決定機

    アレクサンデル・イサク

    イサクの決定機を鈴木彩艶が止めた。

    日本 1-1 スウェーデン

  7. 90+3'
    SWE決定機

    アレクサンデル・イサク

    終盤のイサクのヘディングを鈴木が触り、バーに当たって日本が逃れた。

    日本 1-1 スウェーデン

32分の警告から90+3分の鈴木彩艶のセーブまで、試合の重心が動いた7場面を整理した図解。

2 / 5記事ページ

FIFAは3-4-3、役割では3-4-1-2――スウェーデンの前線3人をどう見るか

開始フォーメーションの公式値は、日本3-4-3、スウェーデン3-4-3。一方でFOX Sportsの表示では、スウェーデンはエランガをイサク、ギェケレシュの背後に置く3-4-1-2。公式値は3-4-3として押さえ、スウェーデンの前線3人の関係を見る場面ではFOX表示も重ねて読む。

日本の公式値は3-4-3。ただし役割で見ると、上田を中央に置き、堂安と前田がその脇や背後を使う3-4-2-1に近かった。幅は右の菅原、左の中村が担い、瀬古、板倉、伊藤が後方の3枚を作った。登録ポジションだけで座標を決めず、開始時に誰がどの列を担ったかを整理する。

図では、鈴木彩艶をGKに、右センターバック瀬古、中央板倉、左センターバック伊藤を後方の3枚として置く。中盤は右から菅原、田中、鎌田、中村。前線は右の堂安、中央の上田、左の前田として読み、56分の先制点につながる右、中央、背後の関係を見やすくした。

この整理にすると、菅原は最終ラインではなく右の幅、中村は前線ではなく左の幅、伊藤は左CBとして読める。

左右は、各チームが相手ゴールへ向かうときの左、中央、右でそろえた。PC表示では日本を左側、スウェーデンを右側に置くため、スウェーデン側の左右は画面上で反転して見える。ここをそろえないと、左ウイングバックと右ウイングバックが画面上で入れ替わって見え、図が読みにくくなる。

スウェーデンの公式値も3-4-3だが、役割で見るとエランガをイサク、ギェケレシュの少し後ろに置く3-4-1-2として読むと分かりやすい。グレアム・ポッター監督はGKをヤコブ・ヴィデル・ゼッテルストレームへ替え、オランダ戦で得点していたエランガを先発に置いた。37分にはイサク・ヒエンが負傷でルーカス・ベルグヴァルと交代し、スウェーデンは早い時間から調整を迫られた。

図で確認したいのは、どちらのチームも前線の人数だけで試合を作ったわけではないという点だ。日本は堂安と上田を経由して前田が走り込む時間を作り、スウェーデンは中盤の前進からエランガ、イサク、ギェケレシュへ届かせる。開始配置を先に整えると、次のページ以降で「誰がどの位置から試合を動かしたか」が追いやすくなる。

図は開始時の配置を整理したもの。保持時、非保持時、交代後の可変は時間帯ごとの説明で追う。ヒエンが37分に下がった後のベルグヴァルの位置、66分以降の伊東と小川、75分以降の渡辺と長友は、タイムラインと各章の流れで追う。

図解
FIFAは3-4-3、役割では3-4-1-2――スウェーデンの前線3人をどう見るか

公式記録確認済みです。日本 3-4-3、スウェーデン 3-4-1-2(FOX表示)を示します。詳細は折りたたみで確認できます。

FOX表示を基にした編集部整理

図は開始時の配置を整理したもの。保持時、非保持時、交代後の可変は時間帯ごとの説明で追う。

スタメン一覧を表示

日本代表

3-4-3

  • 背番号1 鈴木彩艶
  • 背番号20 瀬古歩夢
  • 背番号4 板倉滉
  • 背番号21 伊藤洋輝
  • 背番号2 菅原由勢
  • 背番号7 田中碧
  • 背番号15 鎌田大地
  • 背番号13 中村敬斗
  • 背番号10 堂安律
  • 背番号18 上田綺世
  • 背番号11 前田大然

スウェーデン代表

3-4-1-2(FOX表示)

  • 背番号1 ヤコブ・ヴィデル・ゼッテルストレーム
  • 背番号2 グスタフ・ラガービエルケ
  • 背番号3 ヴィクトル・リンデレフ
  • 背番号4 イサク・ヒエン
  • 背番号21 アレクサンダー・ベルンハルドソン
  • 背番号18 ヤシン・アヤリ
  • 背番号24 エリオット・ストラウド
  • 背番号5 ガブリエル・グドムンドソン
  • 背番号11 アンソニー・エランガ
  • 背番号17 ヴィクトル・ギェケレシュ
  • 背番号9 アレクサンデル・イサク

FIFA公式データでは両チーム3-4-3。図はFOX表示と役割整理を基に、スウェーデンを3-4-1-2として読んだ開始時の関係を整理したもの。保持時、非保持時、交代後の可変は時間帯ごとの説明で追う。

3 / 5記事ページ

56分の先制点。前田大然、堂安律、上田綺世の連動

先制点は、前田だけのゴールではなかった。

序盤の日本は、右で堂安と菅原を使い、中央で上田が相手CBの基準点になり、前田が最終ラインの背後を狙った。前半には、前田の落としから中村敬斗が大きなチャンスを迎えている。ゼッテルストレームに阻まれたが、その場面でも前田は単に背後へ走るだけでなく、味方を前向きにする落としを担っていた。前田は落とし役と背後への走りを行き来し、スウェーデンの最終ラインに前後の判断を迫っていた。

56分の先制点も、その連動の延長にある。堂安が右からボールを入れ、上田が戻す。前田は中央へ入り直し、最後に押し込んだ。記録上の得点者は前田、アシストは堂安。だが場面を分解すると、堂安が幅から相手を動かし、上田が一度ボールを受けて守備者を引きつけ、前田がゴール前へ入る時間を作ったゴールだった。

公式記録のアシストは堂安である。そのうえで、上田の中央での処理を流れとして見る意味は大きい。中央で一度受ける選手がいるから、前田はゴール前へ入り直せる。堂安の右からのボール、上田の中央での処理、前田の最後の入り方を分けると、先制点は単発の押し込みではなくなる。

日本がこの形を出せたことは、試合条件とも関係している。引き分け以上でよい試合では、最初からリスクを抑える選択もできる。それでも日本は前へ出た。前田の背後への走りだけでなく、中村が受ける場面、堂安が右から作る場面、上田が中央で相手CBを引きつける場面を使い、先にスコアを動かした。

この得点は、日本が条件だけを見て保守的に入ったのではないと示した。引き分けで足りる試合でも、先に仕掛ける。前田の得点は、その意思表示でもあった。次のブラジル戦を考えても、日本が「待つだけ」ではなく、自分たちから相手を動かす形を持っていたことは大きい。

先制点のあとに試合が終わったわけではないからこそ、この56分はさらに大事になる。日本は1点を取った後、6分で追いつかれた。それでも、前へ出たこと自体は消えない。右から作り、中央で受け、最後に背後とゴール前へ入る。この順番を一度出せたことが、ブラジル戦でも「どこから相手を動かすのか」という見どころになる。

前田にとっても、このゴールは走力だけの評価で終わらせにくい。前半の落とし、56分の入り直し、そして相手DFの視界からゴール前へ入るタイミングがつながっている。堂安と上田を含めた連動で見ることで、前田の得点は日本の攻撃全体の形として読める。

図解
日本は先に勝ちに行った

前田大然、堂安律、上田綺世の関係から56分の先制点を分解した編集部図解。

4 / 5記事ページ

62分以降。エランガの同点弾とイサクの決定機

スウェーデンも、ただ押し込まれていたわけではない。日本に勝てば順位を入れ替えられる状況で、前線にはアレクサンデル・イサク、ヴィクトル・ギェケレシュ、エランガがいる。32分にイサク・ヒエンが警告を受け、37分には負傷でルーカス・ベルグヴァルと交代した。予定外の早い交代だったが、スウェーデンは中盤の前進力を足しながら、前の3人へ届けるルートを探した。

62分、試合は一気に戻された。ギェケレシュが関与し、エランガが左足で同点弾を決める。オランダ戦でも得点していたエランガは、この試合でもスウェーデンの出口になった。日本が先制してからわずか6分。ここでスコアは1-1になり、日本は「勝ちに行く試合」と「2位を守る試合」の間で判断を迫られた。

この同点弾のあと、スウェーデン側にも揺れがあった。Reuters / India Todayの記事は、エランガが引き分けでも突破できる状況を十分把握できず、さらに勝ち越しを急いでいたこと、イサクが落ち着くよう促したことを伝えた。スウェーデンは同点で十分な状況になっても、ピッチ上ではまだ勝ち越しを探し続けていた。

森保一監督は66分に堂安と上田を下げ、伊東純也と小川航基を投入した。前線の走力とターゲットを入れ替え、もう一度前へ出る選択肢を残した交代である。一方で75分には瀬古に代えて渡辺剛、中村に代えて長友佑都を入れた。Reuters / Flashscoreの記事では、森保監督が2位通過を守るために守備的な選手を入れた趣旨を説明している。

この切り替えは消極策ではない。グループリーグ第3戦では、1点を取りに行く価値と、1点を失わない価値が時間とともに入れ替わる。

引き分けを崩さないこと。2位通過を確定させること。その最後のところにいたのが鈴木彩艶だった。

65分、イサクが決定機を迎える。日本が同点に追いつかれた直後で、ここを決められれば試合は完全にスウェーデンへ傾いていた。鈴木はこのシュートを止めた。さらにThe Guardianのライブ速報は、90+3分のイサクのヘディングも鈴木が触り、バーに当たった場面として記録している。スウェーデンは最後まで勝ち越しの場面を作ったが、日本は勝ち越し点を許さなかった。

鈴木のセーブは、「守っただけ」の場面ではない。日本は前田のゴールで2位をつかみかけ、エランガの同点弾で試合を振り出しに戻された。その後、試合の意味は変わった。この引き分けを守れば2位。失えば3位の比較に回る。鈴木の右手で残した1-1は、単なる好セーブではなく、ブラジル戦へ進むための最後の大きな防波堤だった。スウェーデン側から見ても、同点後に勝ち越しへ迫ったからこそ、このセーブの重みが残る。

図解
スウェーデンはエランガの同点弾で試合を振り出しに戻した

ポッター監督の人選、ヒエン負傷後の修正、エランガの同点弾を整理した図解。

5 / 5記事ページ

ブラジル戦へ。この1-1が残した見どころ

日本は勝点5でグループFを2位通過した。オランダに二度追いついた初戦、チュニジアを4-0で崩した第2戦、そしてスウェーデン相手に先制しながら追いつかれ、最後は引き分けを守った第3戦。3試合すべてで違う顔を見せたことになる。

ブラジル戦へ持ち越せるものは、前田の走り、堂安の右からの作り、上田の中央での基準点、そして鈴木の終盤の集中だ。一方で課題もある。先制後に6分で追いつかれたこと、前線の強い相手に決定機を許したこと、守備的交代に寄せた後にボールを握って時間を進める余裕が十分ではなかったこと。ブラジル相手なら、そのどれもがより厳しく出る。

それでも、この1-1は小さな結果ではない。日本は勝ちに行くゴールを取り、追いつかれてから試合の意味を読み替え、最後はGKのセーブで条件を守った。ブラジル戦を見る理由は、もう十分にある。前田がどこへ走るか。堂安と伊東がどちらの時間を作るか。上田と小川が中央でどれだけ基準点を作れるか。1-1の先に、その全部が続いている。

森保一監督は、ブラジル戦へ向けて日本が簡単な相手ではないことを示したい趣旨を語っている。前年10月にブラジルへ3-2で勝った経験も、自信を持って入る材料になる。ただし、公式戦のノックアウトでは一つの揺れがそのまま敗退につながる。スウェーデン戦で見えたのは、優勢の時間だけでなく、苦しい時間の残し方だった。

ラウンド32の相手がブラジルになったことで、1-1の意味はさらに具体的になる。前田の走りは、相手最終ラインをどれだけ後ろへ向かせられるか。堂安と伊東の右は、保持で時間を作るのか、速く背後へ出るのか。上田と小川は、中央でボールを受ける基準点をどう引き継ぐのか。鈴木は、スウェーデン戦の65分と90+3分のような一場面に準備し続ける一方で、チームとしてはその前の局面で決定機を減らしたい。

この試合は、日本が完璧だったことを示すものではない。先制後の6分で追いつかれ、最後までイサクに決定機を許した。ただ、その弱さも含めて次を見たくなる。ブラジル戦では、良かった形がどこまで通じるか、苦しかった時間をどこまで短くできるかが焦点になる。

グループ3試合の流れで見ると、日本はオランダ戦で追いつく力、チュニジア戦で突き放す力、スウェーデン戦で引き分けを残す力をそれぞれ見せた。ブラジル戦では、その三つを一つの試合の中でどれだけ出せるかを見たい。前田の背後、堂安と伊東の右、上田と小川の中央、そして鈴木に頼り切らない守備。次の90分は、この1-1の見どころをそのまま問い直す試合になる。

図解
1-1の先にブラジル戦がある

日本が勝点5の2位でラウンド32へ進み、ブラジル戦へ持ち越す見どころを整理した図解。

参照元

10

記事情報

AI利用情報

AI生成イメージ

画像クレジット

AI生成イメージ / J Football Hub

試合記録

出場選手・監督

関連選手とは別に、試合記録として先発、交代出場、監督を整理しています。

次に読む

この記事から続けて読む