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試合レビュー

ドイツ1-1パラグアイ、PK3-4。堅守と6人目カナレでパラグアイが16強へ

W杯26ラウンド32、ドイツ 1-1 パラグアイ、PK3-4。エンシソの先制、ハフェルツの同点、延長の停滞、6人目カナレの一蹴から、パラグアイがどう守り切り、ドイツがどこで中央を割れなかったかを読む。

大会

ステージ

ラウンド32
パラグアイがドイツを1-1からPK3-4で下したW杯26ラウンド32の試合レビュー用サムネイル
AI生成イメージ / J Football Hub / 画像はAI生成によるイメージです
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エンシソとハフェルツ。PK戦まで続いた重さ

ボストンの夕方、白いシャツがパラグアイ陣内へ押し込んでいく。キミッヒは右から何度も高い位置を取り、ブラウンは左で幅を作る。ヴィルツとザネが内側へ顔を出し、ハフェルツは相手中盤の背後を探した。けれど、先に沈黙を破ったのは待つ側だった。42分、マティアス・ガラルサが左からクロスを入れる。フリオ・エンシソが中央へ飛び込み、頭で合わせた。保持していたチームではなく、少ない前進を逃さなかったチームが先にスコアを動かした。

この先制点で、試合の空気は一度締まった。ドイツはボールを握れる。だが、パラグアイの2トップと中盤4枚は中央を簡単には空けない。ガラルサは守備では左の列へ戻り、攻撃ではクロスを入れる位置まで出る。エンシソは前線で待つだけでなく、リュディガーとターの間へ一瞬だけ入り込んだ。ドイツが時間を支配しても、先に点を奪われたことで、攻撃は急ぐ必要を帯びた。

ドイツはハーフタイムにフェリックス・ヌメチャを下げ、レオン・ゴレツカを入れた。54分、フロリアン・ヴィルツの左クロスにカイ・ハフェルツが飛び込み、ヘディングで1-1に戻す。外で相手を動かし、最後に中央へ入る。ここまでは、ドイツが用意した入口が通った場面だった。

だが、試合はこの同点弾で開き切らない。パラグアイは4-4-2の列を戻し、ヒルの前にカナレとグスタボ・ゴメスを残した。ドイツの攻撃は何度もエリアへ届く。それでも最後の一歩は、相手GKと最終ラインが触れる場所に寄っていった。

後半終盤から延長にかけて、ドイツはCKとクロスで圧力をかけ続けた。延長にはCKの流れからネットを揺らした場面もあったが、VARを経て公式得点には残らない。得点として記録されたのは、エンシソとハフェルツの2つだけだった。

120分のスコアは1-1で止まる。攻撃の量と、試合を決める1点は別の場所にあった。

ドイツの選手がゴール前へ集まるほど、パラグアイの守備者も同じ場所へ集まる。その密度の中で、次の一撃は少しずつ難しくなった。

延長の停滞は、単なる疲労ではない。ドイツは人を入れ替え、ゴール前の高さを増やした。パラグアイはそれでも落下地点へ人数を残す。ヒルが一度触る。カナレが跳ね返す。クバスがこぼれ球へ寄る。その繰り返しで時間が進んだ。ドイツにとっては、押し込むほど相手の守備者がゴール前にそろう時間でもあった。

延長後半には、ヴァルデマール・アントンのヘディングもヒルの前へ飛んだ。ドイツは最後までゴール前へ人数を送ったが、シュートの多くは相手GKが反応できる高さと角度に残る。パラグアイは完全に押し返したわけではない。それでも、ドイツの一撃を「誰も触れない場所」へ置かせなかった。

PK戦では、その重さが短い順番に変わった。ドイツ先攻の1本目でハフェルツが失敗し、パラグアイはマウリシオが決める。途中でサナブリアとバルブエナが外しても、ドイツもヴォルテマーデとターを決め切れない。6人目、ターが失敗した直後、ホセ・カナレが成功する。守備で120分を支えたセンターバックが、最後のキックでパラグアイを次のラウンドへ運んだ。

この結末は、PKだけの事故ではない。パラグアイは先制後に守る場所を失わず、ドイツは同点後に攻撃の量を増やしても、相手を背走させる場面を増やし切れなかった。42分のガラルサとエンシソ、54分のヴィルツとハフェルツ、延長の混雑、PK6人目のカナレ。その順番を追うと、パラグアイが何を消し、ドイツがどこで止められたかがはっきりする。

この試合を解く入口は、開始時の配置にある。アレクサンダル・パブロヴィッチはハフェルツの列ではなく、ヌメチャと並ぶ中盤の底にいた。そこを見誤ると、ドイツがどこから前進し、なぜ最後は外へ逃がされる場面が増えたのかを追いにくくなる。

図解
ドイツ 1-1 パラグアイ、PK3-4 主要な試合経過

主要な試合経過

パラグアイが42分にエンシソのヘディングで先制し、ドイツは54分にハフェルツが追いついた。120分は1-1のまま終わり、PK戦は6人目のカナレが決めてパラグアイが4-3で勝った。

GER 1-1 PAR, PK 3-4

ドイツ
GER
パラグアイ
PAR
  1. 42'
    PAR得点

    フリオ・エンシソ

    ガラルサのクロスにエンシソが頭で合わせ、パラグアイが先制した。

    0-1

  2. 54'
    GER得点

    カイ・ハフェルツ

    ヴィルツの左クロスにハフェルツが頭で合わせ、ドイツが追いついた。

    1-1

  3. 118'
    GER決定機

    ヴァルデマール・アントン

    延長後半、アントンのヘディングをヒルがセーブ。ドイツは延長でも決め切れなかった。

    1-1

  4. PK6
    PARPK

    ホセ・カナレ

    ターが失敗した後、カナレが決めてパラグアイの勝ち上がりが決まった。

    PK 3-4

スタッツ表を表示
FIFAフルタイムレポート 基本スタッツ
FIFAフルタイムレポート 基本スタッツ
指標ドイツパラグアイ
シュート217
CK166
警告44
PMSR 技術スタッツ
PMSR 技術スタッツ
指標ドイツパラグアイ
xG1.250.61
ラインブレイク完了16151
守備ラインブレイク106
敵陣3分の1での受球34469
守備対応を求められる回数非保持の時間が長い側では増えやすい値。守備の成功率そのものではない。164410
ボールロスト誘発4559
詳細イベントを表示
  1. 1'

    PAR決定機: フニオール・アロンソ

    右CKの流れからアロンソが左足で枠内へ打ち、ノイアーが止めた。

    0-0

  2. 42'

    PAR得点: フリオ・エンシソ

    ガラルサのクロスにエンシソが頭で合わせ、パラグアイが先制した。

    0-1

  3. ハーフタイム

    GER交代: レオン・ゴレツカ投入

    ドイツはヌメチャを下げ、ゴレツカで中央の押し上げを増やした。

    0-1

  4. 54'

    GER得点: カイ・ハフェルツ

    ヴィルツの左クロスにハフェルツが頭で合わせ、ドイツが追いついた。

    1-1

  5. 57'

    PAR交代: マウリシオ投入

    得点者エンシソに代わってマウリシオ。公式記録上は通常交代として残る。

    1-1

  6. 77'

    GER決定機: カイ・ハフェルツ

    ヴィルツのクロスにハフェルツが頭で合わせたが、ヒルがセーブした。

    1-1

  7. 90+1'

    GER決定機: ヨナタン・ター

    ブラウンのCKにターが頭で合わせたが、ヒルが止めた。

    1-1

  8. 118'

    GER決定機: ヴァルデマール・アントン

    延長後半、アントンのヘディングをヒルがセーブ。ドイツは延長でも決め切れなかった。

    1-1

  9. PK1

    PARPK: ハフェルツ失敗、マウリシオ成功

    ドイツ1本目のハフェルツは失敗。パラグアイ1本目のマウリシオが決めた。

    PK 0-1

  10. PK3

    PARPK: キミッヒ、グスタボ・ゴメス、ムシアラ、ガラルサ成功

    2本目と3本目は両チームが成功し、パラグアイが1本リードを保った。

    PK 2-3

  11. PK4

    GERPK失敗: ヴォルテマーデとサナブリアが失敗

    4本目はドイツのヴォルテマーデ、パラグアイのサナブリアがともに失敗した。

    PK 2-3

  12. PK5

    GERPK: アミリ成功、バルブエナ失敗

    アミリが決め、バルブエナが失敗。PK戦は3-3で6本目へ進んだ。

    PK 3-3

  13. PK6

    PARPK: ホセ・カナレ

    ターが失敗した後、カナレが決めてパラグアイの勝ち上がりが決まった。

    PK 3-4

42分エンシソ、54分ハフェルツ、延長の攻防、PK戦6人目カナレまでを示す図解。

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公式配置を読む。パブロヴィッチとヌメチャの土台

配置で最初に見たいのは、ドイツ中央のダブルボランチの高さだ。公式タクティカル・ラインアップでは、ドイツは4-2-3-1で始まった。

パラグアイは4-4-2だった。ドイツの形は、パブロヴィッチとヌメチャが最終ラインの前に並び、その前にヴィルツ、ハフェルツ、ザネが立つ構造である。

パブロヴィッチをハフェルツの列へ上げてしまうと、この試合の入口は見えなくなる。彼はヌメチャと同じ中盤の底で、CBからのボールを受け直す位置にいた。パラグアイの中盤が中央を閉じるほど、この2枚の受け直しがドイツの攻撃を支える土台になる。

ドイツはGKマヌエル・ノイアー。最終ラインは左からナサニエル・ブラウン、アントニオ・リュディガー、ヨナタン・ター、ヨシュア・キミッヒだった。中盤の底にアレクサンダル・パブロヴィッチとフェリックス・ヌメチャが並び、その前にフロリアン・ヴィルツ、カイ・ハフェルツ、レロイ・ザネが入る。デニス・ウンダフは最前線の1人である。パブロヴィッチはハフェルツの下、最終ラインの前、ヌメチャの左隣に置く。この前後関係が、ドイツの保持の始点になる。

この配置で大事なのは、パブロヴィッチが攻撃的MFの列ではなく、ヌメチャと並ぶ土台の列にいたことだ。2人が同じ高さにいることで、ヴィルツ、ハフェルツ、ザネの列は前を向いて受ける準備ができる。パブロヴィッチは左寄りでブラウンやリュディガーから受け、横へ逃がすか、ハフェルツの足元へ縦に入れるかを選ぶ。ヌメチャは右寄りでキミッヒやザネの背後を支え、奪われた直後の戻りにも関わる。ドイツの攻撃は、2列目だけでなく、この2枚の高さから始まっていた。

この位置関係があるから、パラグアイの前線2枚も簡単には飛び込めない。エンシソとアバロスがCBへ強く出れば、パブロヴィッチかヌメチャが空く。逆に2人を見れば、リュディガーやターが運べる。ドイツはその揺さぶりで敵陣へ入り、パラグアイは中盤の列で受け止めた。

パラグアイはGKオルランド・ヒル。4バックはフニオール・アロンソ、ホセ・カナレ、主将グスタボ・ゴメス、フアン・ホセ・カセレス。中盤4枚はマティアス・ガラルサ、アンドレス・クバス、ダミアン・ボバディージャ、ミゲル・アルミロン。前線はフリオ・エンシソとガブリエル・アバロスだった。ドイツの中央にパブロヴィッチとヌメチャが2枚いるため、クバスとボバディージャはハフェルツの背中とボランチの前進を同時に見る必要があった。

ドイツの狙いは、外から押し上げて中央へ戻すことだった。キミッヒ側ではザネが外と内を行き来し、左ではブラウンとヴィルツが前進の入口を作る。パブロヴィッチが横へ動かせば、ハフェルツの周辺に一瞬だけ受ける角度が生まれる。ヌメチャが右へ支えれば、キミッヒとザネの背後を埋められる。だが、その前提はパラグアイにも読まれていた。前線2枚はCBへの戻しを牽制し、中盤の2枚はハフェルツの前後を消す。

ハーフタイムの交代も、この配置から見ると整理しやすい。ヌメチャからゴレツカへの交代は、2列目を増やす変更ではない。中盤底の片側に、より前へ入り直せる選手を入れた変更だった。54分の同点弾はその後に生まれたが、開始配置そのものが攻撃的MF3枚の背後を空けていたわけではない。ドイツの入口は、あくまでパブロヴィッチとヌメチャの2枚で中央を支える形だった。

パラグアイの4-4-2は、その入口を割らせないための形だった。外へ出たボールにはガラルサとアルミロンが戻り、クロスはカナレとグスタボ・ゴメスが受ける。42分の先制点も、ガラルサが守備の外側から攻撃へ出て、エンシソが中央で合わせた場面である。開始時の列を正しく見ると、ドイツが押し込んだ理由と、パラグアイが中央を閉じられた理由が同じ画面でつながる。

図解
ドイツ 1-1 パラグアイの公式初期配置(現地6/29・日本時間6/30)

公式記録確認済みです。ドイツ 4-2-3-1、パラグアイ 4-4-2を示します。詳細は折りたたみで確認できます。

公式スタメン配置

FIFA公式タクティカル・ラインアップに基づく開始時配置。保持時・非保持時・交代後の変化は本文で補足する。

スタメン一覧を表示

ドイツ代表

4-2-3-1

  • 背番号1 マヌエル・ノイアー
  • 背番号18 ナサニエル・ブラウン
  • 背番号2 アントニオ・リュディガー
  • 背番号4 ヨナタン・ター
  • 背番号6 ヨシュア・キミッヒ
  • 背番号5 アレクサンダル・パブロヴィッチ
  • 背番号23 フェリックス・ヌメチャ
  • 背番号17 フロリアン・ヴィルツ
  • 背番号7 カイ・ハフェルツ
  • 背番号19 レロイ・ザネ
  • 背番号26 デニス・ウンダフ

パラグアイ代表

4-4-2

  • 背番号12 オルランド・ヒル
  • 背番号6 フニオール・アロンソ
  • 背番号13 ホセ・カナレ
  • 背番号15 グスタボ・ゴメス
  • 背番号4 フアン・ホセ・カセレス
  • 背番号23 マティアス・ガラルサ
  • 背番号14 アンドレス・クバス
  • 背番号16 ダミアン・ボバディージャ
  • 背番号10 ミゲル・アルミロン
  • 背番号19 フリオ・エンシソ
  • 背番号21 ガブリエル・アバロス

FIFA公式タクティカル・ラインアップをもとにした開始時配置。ドイツは4-2-3-1、パラグアイは4-4-2。

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ドイツ視点。押し込んだのに、中央を割れなかった

ドイツの試合は、同点に追いついたあとから難しくなった。54分の場面は理想に近い。ヴィルツが左からクロスを入れ、ハフェルツが中央で合わせる。パラグアイの4-4-2を外へ動かし、最後にゴール前へ入る形だった。

だが、その一度を再現し続けることはできなかった。ボールは持てる。押し込める。けれど、カナレとグスタボ・ゴメスの間を地上で割る場面は少なかった。ドイツの攻撃は、相手を横へ動かすところまでは届いても、最後に正面を外す角度が足りないまま進んだ。

公式記録上、ドイツは保持率76%、シュート21本、CK16本まで積み上げた。PMSRの技術指標でも、パス成功数、ラインブレイク、ファイナルサードでの受け数はドイツが大きく上回る。ただし、ここで大切なのは数字の量ではなく、どこで止まったかである。キミッヒから右へ展開し、ザネが幅を取っても、最後はクロスになる。左でヴィルツが受けても、パラグアイの中盤が戻れば、ハフェルツとウンダフの足元へ差す道は狭くなる。

パラグアイの守備は、ドイツに「持たせない」より「入れさせない」を選んだ。リュディガーやターから横へ動くボールには急いで出ず、ハフェルツが受ける瞬間に中盤が狭める。ウンダフがCBの間に立っても、カナレとグスタボ・ゴメスは背中を向けて走らされる場面を減らした。ドイツは相手陣内で受け直せたが、受けた場所がゴールから少し遠い。そこから一度外へ出すため、攻撃の最後がクロスに寄った。

パブロヴィッチとヌメチャの位置も、この停滞に関わる。開始時は2人が中盤の底に並び、最終ラインから2列目へつなぐ役目を担った。だが、先制された後は、前へ出るボールを増やす必要が出る。ハーフタイムにヌメチャが下がり、ゴレツカが入ったのは、中央で受ける高さとゴール前への入り直しを増やすためだった。同点弾はその修正後に生まれたが、パラグアイはすぐに中央の幅を閉じ直した。

終盤のドイツは、押し込むほど選択肢が外へ寄った。77分にはハフェルツのヘディングをヒルが止め、90+1分にはターのヘディングもセーブされた。延長でもハフェルツ、キミッヒ、アントンが枠内に飛ばしたが、ゴール前でヒルに触られる高さに残った。

延長にCKの流れからネットを揺らした場面も、VARを経て得点には認められていない。攻撃の回数は足りていたが、公式得点に変わったのは54分の1本だけだった。

交代策も、試合を開き切るまでは届かなかった。ムシアラは63分から入り、個で前を向く場面を増やした。アントンとヴォルテマーデの投入は、セットプレーとクロスにもう一段の高さを足す意味を持った。延長にはアミリとチャウも加わった。それでも、中央を短いパスで割るより、最後に高いボールへ託す攻撃が増える。ドイツのベンチは手を打ったが、パラグアイの守備が嫌がる低い位置の崩しは増えにくかった。

もう一つ見たいのは、セカンドボールの行方である。ドイツは跳ね返された後も回収できたが、回収地点はゴール前ではなく、再び外側へ戻ることが多かった。押し込みは続いても、連続攻撃の2手目が中央の決定機に変わりにくい。パラグアイがクリアを完全に遠くへ飛ばせなくても、ドイツの次のパスがもう一度外へ向かえば、守備側は列を作り直せる。

だから、ドイツの敗因をPKだけに閉じると見落とすものがある。PK戦の1本目でハフェルツが失敗し、6本目でターも決められなかったことは大きい。しかし、その前に120分の中で2点目を取れなかった。クロスは多く、CKも多い。

だが、パラグアイのCBが前を向いて跳ね返せるボールが増えた。ドイツが失ったのは、保持の量ではなく、中央をもう一度こじ開ける角度だった。同点後に必要だったのは、同じ圧力を増やすことだけではない。相手CBの体の向きを変える、もう一つ低いパスだった。そこを消し続けた側の名前へ、次のページで視点を移す。

図解
ドイツが保持で押し込みながら届かなかった理由

保持76%、シュート21本、CK16本でも、2点目とPK戦の精度には届かなかった。

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パラグアイ視点。ヒルが止め、カナレが終わらせた

パラグアイは、ボールを持てない時間を最初から受け入れていた。自陣で4-4-2を崩さず、前線2枚はドイツCBへの戻しを追い過ぎない。クバスとボバディージャはハフェルツの前後に立ち、外へ出たボールにはガラルサとアルミロンが戻る。

低く構えるだけなら、ドイツのクロスを浴び続ける。パラグアイはそこに一歩の接触を足した。守備プレッシャー410回というPMSRの値は、ただ待ったのではなく、ボールの出口へ触りに行った時間の長さを示している。

守備の中心は、中央を消す選択だった。前線がノイアーやCBへ深追いしない分、クバスとボバディージャは2列目の前で距離を保てる。ヴィルツやザネが内側へ入ると、外側のMFが戻り、中央の2人がハフェルツへの道を閉じる。ドイツのボールは横へ動いたが、パラグアイは横へ動かされながらも、ゴール前の幅だけは最後まで残した。

その守備は、42分の得点で報われた。ガラルサは左の幅から前へ出て、エンシソへクロスを入れる。エンシソは中央でリュディガーとターの間を狙い、ヘディングで先制した。パラグアイにとって大きかったのは、少ない攻撃でスコアを持てたことだけではない。得点後に、ガラルサがまた中盤へ戻れる配置だったことだ。攻撃へ出た選手が守備の列へ戻る。この往復が、後半以降の長い守備を支えた。

得点者のエンシソは57分にマウリシオと交代した。公式記録では、この交代は通常の選手交代として残っている。パラグアイは前線の名前を替えても、守備の形を大きく崩さなかった。55分のカバジェロ投入で前の圧を保ち、99分にはサナブリアとオヘダを入れる。終盤に前線を完全に消さなかったことは、ドイツCBが余裕を持って運ぶ状況を避ける助けになった。

ヒルの存在は、守備の最後の線だった。ドイツは後半から延長まで何度もゴール前へ入ったが、ハフェルツ、ター、アントンのヘディングはヒルの守備範囲に残った。公式記録とスポーツナビで枠内数には差があるものの、GKが複数の場面で試合を切ったことは変わらない。ヒルが止めるたび、カナレとグスタボ・ゴメスは次のクロスに備え、クバスは中央で接触を続けた。

ヒルのセーブは派手な横っ飛びだけではない。クロスの落下地点を読み、正面で触れる位置へ立つことも含まれる。パラグアイのCBがシュートコースを限定し、GKが最後に触る。この順番が繰り返されたから、ドイツの攻撃は枠へ向かっても得点へ変わりにくかった。

カナレの仕事は、PKの前から続いていた。クロスに対して先に落下地点へ入り、クリアを遠くへ飛ばせない場面でも、少なくともドイツの2本目のシュートを遅らせる。グスタボ・ゴメスは隣で高さを保ち、カセレスとアロンソは大外から入る相手を見た。守備の中で誰かが完全に剥がされる場面を減らしたから、ヒルは反応できる範囲で勝負できた。

守備だけで終わらなかった点も重要だ。58分にはカバジェロがヘディングでノイアーを働かせ、69分にはグスタボ・ゴメスがCKからゴール前へ入った。多くはないが、ドイツに完全な片攻めを許さないための前進は残していた。相手を走らせる数分が、守備の呼吸を戻した。ヒルがセーブした後、味方が一度でも前へ出られれば、次のクロスを受ける位置を作り直せる。

PK戦の6本目で決めたのは、そのカナレだった。120分の多くを跳ね返す側で過ごしたセンターバックが、ターの失敗後に右足で勝負を終わらせた。パラグアイの勝利は、守備の我慢だけではない。42分に外から出て点を取り、54分に追いつかれても形を戻し、延長の混乱を越え、最後に守備者が蹴った。誰がどこで何を消したかを追うと、ヒル、カナレ、グスタボ・ゴメス、クバスの名前が自然に前へ出る。次は、その守った時間がPK戦でどう順番へ変わったのかを見る。

図解
パラグアイが耐えて勝ち切った道筋

先制点、ヒルのセーブ、カナレの6本目が勝ち上がりを作った。

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PK戦と次戦へ。パラグアイはフランス戦、ドイツは出口の再設計へ

PK戦は、120分の物語を短い順番へ圧縮した。ドイツ先攻の1本目、同点弾を決めていたハフェルツが失敗する。パラグアイはマウリシオが決め、すぐに優位を得た。キミッヒとグスタボ・ゴメス、ムシアラとガラルサが成功する。

4本目はヴォルテマーデとサナブリアがともに外す。5本目はアミリが決め、バルブエナが失敗した。

3-3で迎えた6本目、ターが失敗し、カナレが決める。

通常スコアは1-1、PKは3-4で確定した。

ドイツにとって痛かったのは、PK戦の失敗者が試合の中心にいた選手だったことだ。ハフェルツは54分に同点弾を決めた。ターは終盤にヘディングでヒルを脅かした。どちらも本編ではゴールに近い場面を作っている。それでも最後のキックでは決まらない。120分で積み上げた関与が、PKの結果を保証しないところに、この試合の残酷さがあった。

この順番だけを見ると、最後の失敗と成功に目が行く。だが、PK戦の重さは試合中に積まれていた。ドイツは同点後に押し込み続けたが、ヒルの前で何度も止められた。パラグアイは4本目と5本目で連続して外しながら、守備者のカナレまで順番を回した。カナレは本編でクロスを跳ね返し続け、最後は自分で勝ち上がりを決めた。守備の時間が長かったチームほど、最後の一蹴にその時間の意味が乗った。

スタッツは、試合の結論を補う材料になる。通常記録では、ドイツが保持、シュート、CKで上回った。PMSRの拡張ポゼッションやxGも、ドイツが長く押し込んだことを示している。ただ、数字が多いほどゴール前の道が開くわけではない。パラグアイがどこで耐え、どの場所を消したかは、42分の先制点、54分の同点後の守備、延長の粘りを合わせて見た方が輪郭が出る。

パラグアイの次戦は、FIFA公式カレンダー上ではフィラデルフィアでのフランス戦である。ここで問われるのは、同じように低く構えたとき、前線へ逃がす道をどれだけ残せるかだ。ドイツ戦ではガラルサのクロスとエンシソの一撃があった。フランス相手にも、守備だけで120分を使うのは難しい。ヒル、カナレ、グスタボ・ゴメスが耐える時間を作りつつ、マウリシオやサナブリアへどう届けるかが次の焦点になる。

一方で、パラグアイはドイツ戦の勝ち方をそのまま捨てる必要もない。守備の列を保ち、外へ誘導し、最後はGKとCBで受け止める。その土台があるから、少ない攻撃でも試合を残せる。次戦で必要なのは、同じ守備をもう一度することではなく、守備から出た最初のパスをどこへ置くかである。エンシソ不在時間の前線、ガラルサの幅、マウリシオの受け方が、フランス戦ではより重くなる。

PKの勝利は、次の試合で同じ展開を保証しない。けれど、120分の中で守る場所を変えず、最後のキックまで役割を持ち続けたことは残る。ヒルが止め、カナレが蹴り、クバスが中央を支えた。その勝ち方を持って、パラグアイはフランス戦へ進む。相手が強くなるほど、今後もその土台が問われる。

PK順を追うのは、そのためだ。誰が外したかだけではなく、どの役割の選手まで順番が回ったかを見ると、120分の負荷と勝負の終点がつながる。そこにPK戦まで続いた温度が残る。

ドイツに残るのは、保持から中央を割る設計の再点検である。パブロヴィッチとヌメチャで始めた中盤底、ゴレツカ投入後の高さ、ムシアラ投入後の個の打開。どの段階でも、最後はクロスやヘディングへ寄る場面が多かった。PK戦の敗退は結果だが、そこへ行く前に2点目を取り切れなかったことが、この試合の本体である。ボストンのラウンド32は、保持する強さと、守り切って蹴り切る強さが別物だと示した。

図解
1-1とPK3-4から見える次の論点

パラグアイはフランス戦へ。ドイツは保持と決定機の関係を見直して大会を終えた。

参照元

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