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試合レビュー

フランス2-0モロッコ。エムバペ名誉挽回、デンベレが締めて準決勝へ

W杯26準々決勝、フランス対モロッコは2-0。前半にPKを止められたキリアン・エムバペが60分に決め、66分にウスマン・デンベレが追加点。配置、試合の分岐、次戦スペイン戦への見どころを整理する。

大会

ステージ

準々決勝
フランスがモロッコを2-0で下したW杯26準々決勝のスコア入り試合レビュー用サムネイル
AI生成イメージ / J Football Hub / 画像はAI生成によるイメージです
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PKを外しても崩れない。エムバペが自分で扉を開けた

ボストン・スタジアムの準々決勝は、フランスがモロッコを下して終わった。ゴールは後半にエムバペ、続いてデンベレ。前半はスコアレスで折り返した。保持率ではモロッコがわずかに上回ったものの、シュートの量と質ではフランスが上だった。数字だけなら順当な勝利に見えるが、この試合を深くしたのは、エムバペがPKを外してから同じ夜を自分のものにしたところにある。失敗を抱えたまま、試合の中心に戻ったことが大きい。その沈着さも勝因だった。

25分、試合の最初の大きな分岐が来た。Guardianの速報では、デジレ・ドゥエが奪い返した流れからフランスが一気に左へ出て、エムバペがヌサイル・マズラウィを抜こうとしたところで倒された。判定はPK。そこからVAR確認とボールの置き直しで長い待ち時間が生まれる。キッカーにとっては一番いやな時間だ。観客の音、相手GKブヌの視線、そして自分の助走までが少しずつ重くなる。

28分、エムバペのPKはブヌに止められた。ここでモロッコの物語が始まりそうに見えた。2022年大会でも準決勝でフランスに敗れたモロッコにとって、同じ相手を再び苦しめるには十分な場面だった。だが、フランスは乱れない。SportsNaviの戦評も、PK失敗後にリズムを崩さなかったことを強調している。前半のうちにディニュのシュートがバーへ触れる場面もあり、フランスは焦るより、次の通路を探し続けた。

この落ち着きは、会場の条件を考えるとより重い。Guardianの速報は、試合開始時のマサチューセッツが32度だったこと、会場がNFLのニューイングランド・ペイトリオッツとMLSのニューイングランド・レボリューションの本拠地として知られるフォックスボロのボストン・スタジアムだったことにも触れている。普段の欧州の夜とは違う暑さ、広い会場、そしてモロッコサポーターの赤い熱気。その中でPKを外せば、普通はチーム全体が少し急ぎ出す。フランスはそこを急がなかった。

後半に入ると、モロッコも一度は前へ出た。ウナヒが中央を運び、ブラヒム・ディアスが右で受ける場面もある。ただし、最後の判断が遅れると、クンデやサリバが戻ってコースを消す。フランスは完全に押し込み続けたわけではないが、危ない時間を長くしなかった。

後半、エムバペが答えを出す。左角付近でボールを受け、内側へ持ち出して、ディオプの外から右隅へ巻いた。ブヌは伸び切ったが届かない。PKを止められた選手が、同じGKの前で流れの中から決める。ここに、この試合の感情の反転があった。さらにデンベレが中央を長く運び、低いシュートで追加点を奪う。短い時間で、緊張していた準々決勝は急速にフランスの試合になった。

見逃せないのは、両方の得点がどちらも「待ったあと」に生まれたことだ。前半のフランスは外を回し、内側を探し、何度も止められた。モロッコは守備ブロックを動かさず、時間を消すように見えた。だが先制点で、待っていた側が逆に追う側になる。するとデンベレには、中央を運ぶわずかな余白が生まれた。トーナメントの試合は、ゴールで相手の配置だけでなく心理まで変わる。この連続得点が、その教材のようだった。

終盤、モロッコはウナヒの左からの仕掛けやエルアイナウィのヘディングで抵抗したが、マイク・メニャンの前を大きく揺らすほどではなかった。フランスはエムバペを77分に下げ、マテタとバルコラを入れて次へ備える。PK失敗、先制、追加点、交代管理。勝ち方には段階があった。だから2-0は単なる完勝ではなく、外しても折れないチームが準決勝へ進んだ試合として読むと深い。その読み方が、次の戦いを待つ理由にもなる。

図解
フランス 2-0 モロッコ 主要な試合経過

主要な試合経過

エムバペが前半のPK失敗を後半の先制点で取り返し、デンベレが6分後に試合を決めた

FRA 2-0 MAR

フランス
FRA
モロッコ
MAR
  1. 25分
    FRA判定

    エムバペがペナルティー獲得

    ドゥエの奪回から左へ出て、エムバペがマズラウィに倒された。

    0-0

  2. 28分
    FRAPK失敗

    エムバペのペナルティーをブヌが止める

    長い待機後のPKは右下へ弱く、ブヌが対応した。

    0-0

  3. 60分
    FRA得点

    キリアン・エムバペ

    左角付近から内へずらし、右隅へ巻くシュートを決めた。

    FRA 1-0 MAR

  4. 66分
    FRA得点

    ウスマン・デンベレ

    中央を運んで低いシュート。ブヌは触ったが止め切れなかった。

    FRA 2-0 MAR

  5. 77分
    FRA交代

    マテタ、バルコラ投入

    エムバペとドゥエを下げ、前線の負荷を分けながら試合を閉じた。

    FRA 2-0 MAR

SportsNaviとGuardianをもとに、PK失敗、エムバペの先制、デンベレの追加点、終盤の管理を短く整理する。

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開始配置。左の噛み合わせとモロッコの待ち方

配置は、先に断っておきたい。試合経過ページの表示では、開始時のフランスが最終ラインの前にコネとラビオを置き、その前でドゥエ、オリーズ、デンベレがエムバペを支えた。モロッコは横幅を保つブロックを作り、前線に出口を残す形だった。Guardianの事前記述では、サイバリ不在のモロッコでブラヒム・ディアスが最前線に近い役割を担う見立ても出ていた。立ち上がりは、フランスのダブルボランチとモロッコの中盤が中央の密度を作り、ブラヒムが前線と中盤の間を行き来する形として読める。

フランスはGKメニャン。最終ラインはディニュ、ウパメカノ、サリバ、クンデ。中盤の底にコネとラビオ、前線の二列目にドゥエ、オリーズ、デンベレ、最前線にエムバペを置く並びで始めた。パラグアイ戦からの大きな変更は、バルコラではなくドゥエが左で先発したことだ。前の試合では途中投入のドゥエがPK獲得につながった。今回は最初から、左で受け直し、奪い返し、相手の足を出させる役割を持たせたと読める。

モロッコはブヌの前に、ハキミ、ディオプ、マズラウィ、サラーエディン。中盤にはブアディ、エルアイナウィ、タルビ、ディアス、ウナヒ、エルカンヌスが並ぶ。開始時の4-4-2表示だけを見ると、誰が前に残るのかが少し分かりにくい。Guardianはブラヒムが前線に近いと見ており、試合の入りではエルカンヌスやウナヒが前へ出る場面もあった。モロッコの前線は、固定された2トップというより、低く待つ時間とカウンターに出る時間で見え方が変わる。

開始時の4-4-2表示は、モロッコが守る時の基準線をつかむためのものだ。サッカーの配置は静止画のまま続かない。ボールを持つとブラヒムが流れ、ウナヒが中央へ落ち、ハキミが右で高さを取ることもある。だが守る時間が長くなると、前線の二人だけが出口に見え、中盤が横にそろう。だからこの試合は、数字の並びを固定答えにせず、低く待つ時間とカウンターに出る時間の差を見ると分かりやすい。この揺れが、後半にフランスの奪回から速攻へつながる余地を残した。

噛み合わせの焦点は、フランス左とモロッコ右だった。エムバペが左へ流れると、ハキミはむやみに高く出られない。ドゥエがその近くで受け直すと、マズラウィやディオプの足が出る。実際、二十五分のPKはドゥエの奪回から始まり、エムバペが左で仕掛けた。配置の紙面では単純な開始時の並びでも、試合の分岐はこの左側の連続性から生まれている。

右のデンベレも重要だった。前半、サラーエディンに奪い返される場面はあったが、彼が右で縦へ運ぶだけでモロッコの最終ラインは後ろ向きになる。中央のオリーズは、外で作った迷いを受けて前を向きたい選手だ。だからフランスの配置は、左のエムバペとドゥエ、右のデンベレ、中央のオリーズが同時に相手の視線を割る設計になっていた。

モロッコにとっては、ハキミの高さの選び方が難しかった。前に出ればエムバペの背後を空ける。残れば、ブラヒムやタルビへ運ぶ距離が長くなる。しかもフランスの左にはディニュがいて、無理に上がり続けるよりも、相手の右カウンターに備える判断を取っていた。ハキミが一気に出られない時間が増えると、モロッコの攻撃は中央で一度止まりやすい。ここが、保持率ほど前進できなかった理由でもある。

モロッコ側は、4-4-2表示で中央を閉じるほど、前線の人数が少なくなる。ボールを持てばパス数は伸びるが、テンポを上げる出口が薄い。フランスがPKを外しても試合を失わなかったのは、この構造があったからだ。だから、開始時の骨格を絞って見る。すべての動きを追うより、どの列から試合が動いたかを短く見る方が、この準々決勝には合っている。配置を絞ると、読みどころもぶれない。

図解
開始時整理。フランス4-2-3-1、モロッコ4-4-2表示

先発選手は公式記録に基づき、配置は編集部推定です。フランス 4-2-3-1、モロッコ 4-4-2を示します。詳細は折りたたみで確認できます。

場面整理

開始時表示を基準にした配置。モロッコの保持時やブラヒムの前線寄りの役割、62分以降の変化は本文と経過図で扱う。

スタメン一覧を表示

フランス代表

4-2-3-1

  • 背番号16 マイク・メニャン
  • 背番号3 リュカ・ディニュ
  • 背番号4 ダヨ・ウパメカノ
  • 背番号17 ウィリアム・サリバ
  • 背番号5 ジュール・クンデ
  • 背番号6 マヌ・コネ
  • 背番号14 アドリアン・ラビオ
  • 背番号20 デジレ・ドゥエ
  • 背番号11 ミカエル・オリーズ
  • 背番号7 ウスマン・デンベレ
  • 背番号10 キリアン・エムバペ

モロッコ代表

4-4-2

  • 背番号1 ヤシン・ブヌ
  • 背番号2 アクラフ・ハキミ
  • 背番号14 イッサ・ディオプ
  • 背番号3 ヌサイル・マズラウィ
  • 背番号26 アナス・サラーエディン
  • 背番号7 ケムズダイン・タルビ
  • 背番号24 ニール・エルアイナウィ
  • 背番号6 アイユーブ・ブアディ
  • 背番号10 ブラヒム・ディアス
  • 背番号8 アゼディン・ウナヒ
  • 背番号23 ビラル・エルカンヌス

先発配置表示と主要ソースをもとにした編集部整理。ブラヒムの前線寄りの役割は、試合中の動きとして扱う。

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フランス視点。ドゥエ先発とデンベレ弾の意味

フランス視点で見ると、この試合は「エムバペが決めた」だけでは終わらない。デシャンの選択でまず効いたのは、ドゥエを先発させたことだ。Guardianは、パラグアイ戦からの変更として、ブラッドリー・バルコラに代わってドゥエが左に入ったと伝えている。バルコラの速さも魅力だが、モロッコのように待つ時間を長くする相手には、ボールの近くで奪い返し、内側へ小さく入れる選手が必要になる。

その答えは早い段階で出た。25分のPKは、ドゥエがモロッコの前進を奪ったところから始まった。左でエムバペへ入ると、モロッコは戻り切れず、マズラウィがスライディングで止めるしかない。PK自体は失敗したが、攻撃の作り方が間違っていたわけではない。ここを取り違えないことが大事だ。失敗したのはキックであって、フランスが相手を動かした過程ではない。

前半のフランスは、派手ではないが、相手を消耗させた。オリーズが右から内へ入り、クンデが外で支え、デンベレが縦に構える。左ではドゥエが幅と内側を行き来し、ディニュは高く出すぎず背後を守る。コネとラビオは前線の後ろに残り、モロッコが一度前へ出てもすぐに二次回収へ入った。SportsNaviのスタッツでは、フランスのシュートと枠内シュートが大きく上回る。保持率より、ゴールに近い行動の質が差になった。

ここで効いていたのは、ミスを恐れすぎない距離感でもある。フランスはショートパスだけで崩そうとはしなかった。オリーズが運んで失えば、コネが近くにいる。ドゥエが仕掛けて止められれば、ディニュとラビオが背後を見る。デンベレが右で孤立しても、クンデが深追いせずに後ろを残す。この「攻めても戻れる」構造があったから、前半のPK失敗後も守備の形を崩さずに済んだ。

エムバペの得点は、個の打開でありながら、流れの答えでもあった。左角で受け、内側へずらし、右隅へ巻く。PK失敗で沈みかけた物語を、自分の得意な形で塗り替えた。さらにデンベレが中央を運んで低いシュートを決める。Guardianは、モロッコが寄せきれず、ブヌが触ったものの止められなかった場面として整理している。ここでは、エムバペのダミーランがデンベレの時間も作っていた。

デンベレのゴールは、PSGでの関係性を代表に持ち込んだようにも見えた。ドゥエ、デンベレ、エムバペはクラブでの関係まで同じではないが、フランスの前線には「誰か一人だけを見ると別の誰かが空く」怖さがある。モロッコがエムバペの動きに寄るほど、デンベレは中央へ入りやすくなる。オリーズが間で受ければ、守備者はさらに迷う。スターの集合ではなく、視線を分ける組み合わせになっていた。

この追加点は大きい。フランスはリードを守るだけのチームにもなれるが、相手が開いた瞬間にさらに取りに行けるチームでもある。前回パラグアイ戦では最少スコアで管理した。今回はPK失敗の後に先制し、すぐ次の得点で試合を遠ざけた。勝ち上がるチームに必要なのは、相手や展開によって勝ち方を変えられることだ。

交代も準決勝を見据えた。ザイールエメリー、マテタ、バルコラ、ギュストが入り、前線と中盤の負荷を分けた。エムバペは右足首を気にする場面があったが、交代時には大きな異変は見せていない。ここで無理をさせず、リードを守りながら前線の足を入れ替えたことも、トーナメントの管理としては自然だ。フランスは華やかな名前で勝ったのではなく、左の選択、中央の追加点、終盤の体力配分まで含めて勝った。次のスペイン戦では、この複数の顔が改めて問われる。ベンチを含めた前線の厚さも、ここで確かに示された。判断も速かった。この層も、確かな強みだ。

図解
フランスの分岐。外した後に、左で決めた

PK失敗から先制、追加点までを、左側と中央の二つのルートで整理する。

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モロッコ視点。ブヌのPKストップだけでは足りなかった

モロッコから見れば、28分のブヌのPKストップは、試合を自分たちへ引き寄せる最高の入口だった。ブヌはカタール大会から大舞台のPKで存在感を見せてきたGKであり、この場面でもエムバペを待たせた空気を自分のものにした。モロッコは前半を0-0で終えた。そこまでは、勝ち筋が残っていたと言える。

ただし、前半のスコアレスには別の読みもある。試合後の戦評では、モロッコがテンポを上げられず、流れの中から作ったチャンスが少なかったと整理されている。守って耐えたというより、前へ出るところで迷いが出た。スタッツ上でも、シュートは五本、枠内は一本にとどまる。保持率が五十一パーセントでも、相手を走らせる保持と、自陣で行き来する保持は違う。モロッコは後者の時間が長かった。

先発の構成にも事情があった。Guardianは、カナダ戦からサラーエディンとタルビが入り、負傷したサイバリの不在でブラヒム・ディアスが前線に近い役割を担う見立てを伝えている。さらに、アイユーブ・ブアディはW杯準々決勝に出た選手として非常に若い記録に近づく存在として紹介された。才能はある。だが、こうした大舞台でフランスの圧力を受けると、パスを受ける前の準備と、失った直後の判断に経験の差が出る。

この試合には、両国の関係性もにじんでいた。Guardianは、モロッコのメンバーにフランス生まれの選手が複数いることにも触れている。ディオプ、エルアイナウィ、ブアディらにとって、相手は単なる強豪国ではない。育った場所、選んだ代表、家族の背景が重なる一戦でもある。ただ、感情の濃さは自動的にチャンスを増やしてくれない。大きな文脈があるほど、ピッチでは最初のトラップと次のパスの速度が問われる。

前半終盤にはドゥエに奪われ、ブヌが止める場面があった。後半の失点前にも、オリーズが内側を運び、エムバペが左から狙う流れが増えていた。モロッコはアムラバトとラヒミを入れ、エルカンヌスとブアディを下げる。追うための修正としては自然だが、その直後にディオプがエムバペを倒して警告を受け、さらにデンベレに中央を運ばれて追加点を許した。交代で前へ出る前に、試合の扉を閉められてしまった。

アムラバトとラヒミの投入は、前へ出る意思表示だった。アムラバトは中盤の衝突を増やし、ラヒミは背後へ走って相手CBを下げられる。カナダ戦で終盤に締めたラヒミを考えれば、モロッコが後半勝負を捨てていたわけではない。だが、交代が効き始める前にスコアが2点差になると、フランスは無理に前へ来ない。追う側の選択肢が急に細くなる。モロッコの悔しさは、そこにもあった。

ハキミ、ウナヒ、ブラヒムにはそれぞれ見せ場があった。ハキミは右でキックの質を出そうとし、ウナヒは終盤に左から探り、ブラヒムもカウンターで受ける。ただ、味方との距離が一拍ずれる。ウナヒが前を向いても次の走者が少ない。ブラヒムが右で受けても、シュートかクロスかの判断が遅れる。相手がフランスなら、その半秒でクンデやウパメカノが戻ってくる。

それでも、この敗戦を単純な失敗にはしたくない。モロッコはグループを突破し、オランダをPK戦で退け、カナダにも快勝してここへ来た。前回大会の快進撃が偶然ではなかったことは、今大会でも示した。だが準々決勝でさらに進むには、ブヌのビッグセーブやハキミの推進力だけでなく、主導権を奪い返す攻撃のテンポが必要だった。前回大会と同じ相手に同じスコアで敗れた事実は痛い。ただ、この痛みは次にモロッコを見る時の基準になる。この敗戦は、守備の誇りと攻撃の宿題を同時に残した。その宿題こそ、次のモロッコを見る時の焦点になる。

図解
モロッコの分岐。守れた前半、足りなかった前進

ブヌのPKストップ、テンポ不足、62分以降の交代策を短く整理する。

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準決勝スペイン戦へ。勝ち方の種類が問われる

フランスの次は準決勝スペイン戦である。Guardianのライブでは、この勝者がアーリントンで行われる準決勝へ進む流れが示され、翌日のスペイン対ベルギーの結果で相手が決まった。ここからは、モロッコ戦とは別の試合になる。モロッコは4-4-2表示の低い構えからテンポを上げられなかったが、スペインはボールを握りながら相手を動かす時間を長く作れる。フランスの守備の距離感は、さらに細かく試される。

モロッコ戦で見えた強みは、保持率に振り回されなかったことだ。SportsNaviのスタッツでは、保持率はモロッコ51パーセント、フランス49パーセント。それでもシュートの質と量ではフランスが上回った。準決勝でも、スペインにボールを持たれる時間はあり得る。そこで大事なのは、ボールを持っていない時間を「押し込まれている時間」にしないことだ。奪った後、エムバペ、デンベレ、ドゥエ、オリーズへどれだけ早く、しかし雑にならずにつなげるか。

スペイン戦では、モロッコ戦の「相手がテンポを上げられない保持」とは違う種類の保持を受けることになる。スペインは横に回すだけでなく、相手が出てきた瞬間に内側へ刺す。フランスが低く構えすぎると、オリーズやデンベレが受ける位置まで遠くなる。反対に前へ出すぎれば、ライン間を使われる。つまり準決勝は、守備の高さを何度も調整する試合になる。デシャンのベンチワークも、より早く問われる。

エムバペの物語も続く。PKを外しても決めたことは強い証拠だが、77分の交代前後には足首を気にする場面もあった。大会の終盤では、スターの状態は戦術そのものになる。無理に長く走らせるのか、早めにマテタやバルコラを使って負荷を分けるのか。スペイン相手に前線の選択を間違えれば、守備に戻る距離が一気に長くなる。

デンベレの2点目も次への鍵だ。彼が右からだけでなく中央を運べるなら、スペインの中盤は誰が寄せるか迷う。オリーズが内側で受け、ラビオとコネ、あるいはザイールエメリーが後ろを支える形になれば、フランスは少ない前進でもチャンスを作れる。モロッコ戦の66分は、相手が寄せなかったから起きた場面でもある。スペイン戦では、同じ時間をもらえない。だからこそ、デンベレが一歩目で相手の重心を外せるかが楽しみになる。

守備では、ディニュの背後とクンデの前が焦点になる。モロッコ戦ではハキミの右を大きく壊されなかったが、スペインは外と内を何度も入れ替えてくる。フランスが前へ出る時、最終ラインと中盤の間が開けば、相手の2列目に前を向かれる。逆に、そこでコネやラビオが先に体を入れられれば、エムバペの左へ一気に返せる。準決勝では、守る時間と刺す時間の切り替えがよりはっきりした見どころになる。

もう一つ見たいのは、ドゥエ先発を続けるかどうかだ。モロッコ戦では、彼の奪回と受け直しがPK獲得につながった。スペイン戦では、同じ位置にバルコラの速さを置く選択もある。相手のSBを後ろへ押し込むならバルコラ、内側で奪い返しを増やすならドゥエ。どちらを選ぶかで、エムバペが受ける角度も変わる。準決勝前の楽しみは、先発表の時点から始まる。

このモロッコ戦は、フランスが大会の本命らしく派手に押し切った試合ではない。PKを外し、前半は重く、後半の6分間で勝負を決めた。だから次への問いが残る。フランスは美しく勝つだけでなく、うまくいかない時間も勝てることを示した。スペイン戦では、その勝ち方をもう一段高い強度で再現できるか。エムバペが外して決めた夜は、準決勝への予告編として十分に濃かった。だから、この勝利は終点ではなく、次の問いを開く勝利でもある。その続きが、準決勝スペイン戦に待っている。

図解
準決勝スペイン戦。持たれる時間をどう刺すか

フランスは準決勝でスペインと対戦。保持を渡す時間、前線の状態、左側の守備管理が焦点になる。

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