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試合レビュー

アルゼンチン3-1スイス。アルバレス112分、王者が延長で4強へ

W杯26準々決勝、アルゼンチン対スイスは3-1。マック・アリスターの先制、エンドイェの同点、エンボロ退場、112分アルバレス、120+1分ラウタロ・マルティネスを軸に、開始配置と準決勝イングランド戦の焦点を整理する。

大会

ステージ

準々決勝
アルゼンチンがスイスを3-1で下したW杯26準々決勝のスコア入り試合レビュー用サムネイル
AI生成イメージ / J Football Hub / 画像はAI生成によるイメージです
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アルバレス112分。王者はまた延長で残った

カンザスシティの夜、アルゼンチンはまた簡単ではない道を通って準決勝へ進んだ。大観衆のKansas City Stadiumで残したのは、王者らしい勝利だった。ただし、スコア差ほど余裕のある試合ではない。マック・アリスターの先制にエンドイェが追いつき、延長後半にアルバレスが勝ち越す。最後はラウタロ・マルティネスが試合を閉じた。立ち上がりの勢い、同点後の重さ、延長の決定力が同じ夜に詰まっていた。王者が余裕で進んだのではなく、揺れながら攻撃の形を作り直した夜だった。その揺れが、次戦の課題にも直結し、勝利の重さを濃くした。

先制点の入り方は、アルゼンチンの強みをよく示していた。APは、メッシが細かな足技でCKを得て、そのボールを自ら蹴り、マック・アリスターが先制点へ変えたと伝えている。メッシが得点しなくても、相手の守備を動かす起点になれる。スイスは序盤に保持で落ち着く時間を作っていたが、セットプレーで王者に先を越された。

それでもスイスは崩れなかった。コベルの前にアカンジ、エルヴェディ、ロドリゲス、ザカリアを並べ、ジャカとフロイラーが中央をふさいだ。前半はスイスが落ち着いて持つ時間も長く、後半半ばの段階でも試合は拮抗していた。最終スタッツだけで、最初から最後まで王者が押し切ったとは読めない。試合の中身は紙一重だった。

この時点で試合の見え方は二重だった。アルゼンチンはセットプレーから先行し、相手陣で長く回す時間を増やした。一方のスイスは、ジャカが受け直すたびに呼吸を整え、エンドイェの外向きの走りでアルゼンチンの最終ラインを後ろへ引っ張った。APは、スイスがコロンビア戦後もヨハン・マンザビを膝の問題で欠いたと伝えている。前線の選択肢が一つ少ない中で追いついたことは、スイスの準備が守備だけではなかった証拠でもある。

会場の空気も、アルゼンチンを一方的に楽にはしなかった。大きな歓声は水色と白を押したが、スイスがパスを三本つなぐたびに、試合は少しだけ落ち着いた。準々決勝は、勢いだけで押し切るには重すぎる。先制したチームが試合を眠らせようとしても、相手が一度ゴール前へ入れば空気はすぐ戻る。その緊張が、同点場面まで途切れなかった。

だからこそ、この勝利は早い先制点の余韻より、試合中に揺れた後の立て直しで読む方が近い。

そこに王者の輪郭が出た。

67分、ロドリゲスのパスからエンドイェが同点にした。スイスのベンチと赤いユニフォームの選手たちが息を吹き返した直後、試合は別の方向へ曲がる。APとThe Guardianは、パレデスへの警告が映像確認後に取り消され、既に警告を受けていたブレール・エンボロが退場した流れを伝えた。スイスは同点の勢いを保つ前に、10人で長い時間を守る試合へ変わった。

アルゼンチンにとっても、数的優位はすぐ楽な状況にはならなかった。相手が低くなれば、メッシの周辺に人が集まり、中央の隙はかえって消える。SportsNaviの最終値は保持56%、シュート22本、xG1.92とアルゼンチン優勢だが、その多くは退場後と延長の包囲で積み上がった数字である。スイスは退場後も簡単に折れず、延長戦へ試合を持ち込んだ。

決めたのはアルバレスだった。延長後半、ホセ・マヌエル・ロペスの落としから長い距離のシュートを決め、停滞した時間に突然窓を開けた。終了間際にはアルマダのシュートのこぼれ球をラウタロが押し込み、アルゼンチンはメッシの得点なしでも勝ち切れることを示した。次はAtlanta Stadiumでイングランド。苦しんで残る力は、この試合でも残した。次は、苦しむ前に試合を動かせるかが問われる。

図解
アルゼンチン3-1スイス 試合経過

主要な試合経過

マック・アリスターが先制、エンドイェが同点。エンボロ退場後、アルバレスとラウタロが延長後半に決めた。

ARG 3-1 SUI

アルゼンチン
ARG
スイス
SUI
  1. 10'
    ARG得点

    アレクシス・マック・アリスター

    メッシのCKからマック・アリスターが先制した。

    ARG 1-0 SUI

  2. 67'
    SUI得点

    ダン・エンドイェ

    ロドリゲスのパスからエンドイェが同点にした。

    ARG 1-1 SUI

  3. 72'
    SUI退場

    ブレール・エンボロ

    VAR後、パレデスへの警告が取り消され、エンボロが二枚目の警告で退場した。

    ARG 1-1 SUI

  4. 112'
    ARG得点

    フリアン・アルバレス

    ロペスの落としから、長い距離の一撃でアルゼンチンが勝ち越した。

    ARG 2-1 SUI

  5. 120+1'
    ARG得点

    ラウタロ・マルティネス

    アルマダのシュートのこぼれ球を押し込み、準決勝進出を決めた。

    ARG 3-1 SUI

10分の先制、67分の同点、72分の退場、延長後半の二得点を短く整理する。

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開始配置。中央の人数と退場後を整理する

開始配置は、アルゼンチンを4-1-3-2として整理する。先発選手はFIFA公式ライブデータとReuters配信で確認し、配置はESPN/FOXのラインアップ表示、SportsNaviの時系列盤面、試合内容を合わせた編集部推定である。SportsNaviはアルゼンチンをツートップ型として示すが、中央の並びを細かく見ると、パレデスの前を厚くする形に近い。数字の呼び方より、誰が中央で受け直したかを優先したい。

アルゼンチンはエミリアーノ・マルティネスの前に、タグリアフィコ、リサンドロ・マルティネス、ロメロ、モリーナ。中盤はパレデスをアンカーに置き、その前にエンソ・フェルナンデス、マック・アリスター、デ・パウルを並べた。メッシとアルバレスが前線に立つため、保持時にメッシが下がると、マック・アリスターがトップ下のように見える場面もある。ただし固定的な菱形ではなく、前の中盤が高さを入れ替える可変と読む方が実態に近い。エンソが左で受け、デ・パウルが右の戻りを助け、マック・アリスターが前へ入る時間帯があるから、同じ選手配置でも表記が割れる。

この形の狙いは、メッシを完全な右ウイングに固定しないことにある。メッシが中盤へ下がればアルバレスは中央を走り、マック・アリスターはエリア付近へ入り直す。パレデスが底で向きを作れるため、エンソとデ・パウルは横だけでなく縦の支援にも動ける。先制点はCKだったが、そのCKを得るまでの足元の崩しに、メッシを自由に置く意味があった。

スイスはザカリアを右SB、ロドリゲスを左SBに置く4-2-3-1。ジャカとフロイラーを中盤の底に置き、エンドイェ、リーダー、ソウがエンボロを支えた。Reuters配信も、コロンビア戦からヤシャリに代えてソウが先発したと記録している。ソウが内側へ絞る場面では、中盤をさらに厚くし、前線の背後を閉じる形にも変化した。ジャカが左寄りで受け直し、エンドイェが内へ入る道を作ったことが同点場面につながった。この配置なら、ロドリゲスの縦パスも左サイド単独ではなく、中央へ人を集めた後の出口として説明できる。

ザカリアは登録やキャリア上は中盤色も強いが、この試合では右SBとして扱う。内側へ入る時間や、ビルドアップで前へ見える瞬間はあっても、開始時の最終ラインはロドリゲス、アカンジ、エルヴェディ、ザカリアで見るのが自然だ。ここを曖昧にすると、スイスの開始配置と退場後の守備変化がつながらなくなる。

退場後は、開始配置とは別に読む必要がある。エンボロが二枚目の警告で退場すると、スイスはエンドイェを前に残す4-4-1に近い形へ移った。

終盤の三枚替え後は、ミューハイムとヴィドマーを外側へ入れ、アムドゥニを前に残す5-3-1で延長戦を耐えようとした。SportsNaviの数字表記をそのまま使うと退場後の実配置と合わないため、本文では人数と役割を優先して補正する。

この整理にすると、前半のスイスがボールを持てた理由も、退場後に出口を失った理由も見えやすい。11人同士ならジャカ、フロイラー、ソウで中央の逃げ道を作れたが、エンボロ退場後は前線の基準点が消え、守備線を下げるしかなくなった。この差が延長の重さになる。

だから主図は開始時に絞る。退場後、延長、交代後の形を同じ図へ詰め込むと、名前と線が重なり、読みにくさが勝ってしまう。キックオフ時の配置、退場直後の応急処置、終盤以降の耐える形は、状況ごとに分けて読む。アルゼンチンは数的優位を得ても中央を簡単には割れなかったが、最後はロペス、アルバレス、アルマダ、ラウタロという交代を含む前線の仕事が勝敗を動かした。

図解
開始配置。アルゼンチン4-1-3-2、スイス4-2-3-1

先発選手は公式記録に基づき、配置は編集部推定です。アルゼンチン 4-1-3-2、スイス 4-2-3-1を示します。詳細は折りたたみで確認できます。

先発確認・配置推定

先発選手はFIFA公式記録に基づく。配置は各社表示および試合内容を基にした編集部推定。保持時・非保持時の可変や退場後の形は混ぜない。

スタメン一覧を表示

アルゼンチン代表

4-1-3-2

  • 背番号23 エミリアーノ・マルティネス
  • 背番号3 ニコラス・タグリアフィコ
  • 背番号6 リサンドロ・マルティネス
  • 背番号13 クリスティアン・ロメロ
  • 背番号26 ナウエル・モリーナ
  • 背番号5 レアンドロ・パレデス
  • 背番号24 エンソ・フェルナンデス
  • 背番号20 アレクシス・マック・アリスター
  • 背番号7 ロドリゴ・デパウル
  • 背番号9 フリアン・アルバレス
  • 背番号10 リオネル・メッシ

スイス代表

4-2-3-1

  • 背番号1 グレゴール・コベル
  • 背番号13 リカルド・ロドリゲス
  • 背番号5 マヌエル・アカンジ
  • 背番号4 ニコ・エルヴェディ
  • 背番号6 デニス・ザカリア
  • 背番号10 グラニト・ジャカ
  • 背番号8 レモ・フロイラー
  • 背番号11 ダン・エンドイェ
  • 背番号22 ファビアン・リーダー
  • 背番号15 ジブリル・ソウ
  • 背番号7 ブレール・エンボロ

先発選手はFIFA公式記録に基づく。配置は各社表示および試合内容を基にした編集部推定。アルゼンチンは4-1-3-2を基準に、保持局面では4-1-2-1-2に近い形も見られた。

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アルゼンチン視点。急がず、最後に二つ刺した

アルゼンチン側から見ると、この試合の難しさは「先制したのに楽にならない」ことだった。10分にマック・アリスターが決めた後、チームは一気に前へ行き続けたわけではない。高い位置まで運んだ後にペースを落とし、相手の隙を探るようにボールを動かす時間が長かった。前線が焦らないぶん、スタンドには緊張が残った。王者らしい落ち着きである一方、追加点を早く奪えない危うさもあった。

メッシはこの試合で得点しなかった。それでも、前半のCKと右寄りでの受け直しは、スイス守備の注意を引き寄せ続けた。エンドイェ、ロドリゲス、ジャカがいる左側にスイスの出口があるなら、アルゼンチンはその裏返しとして右から中央へ入る道を作りたい。メッシが半歩外で受けるだけで、相手の二列目は寄るか、中央を残すかを迫られる。

同点後、しかも相手が10人になった後の方が、アルゼンチンの攻撃は難しくなった。人数が多い側が常に簡単に崩せるわけではない。低く構えたスイスはゴール前の幅を消し、コベルの前に赤いシャツを重ねた。アルゼンチンは保持率とシュート数では上回ったが、中央を割る最後の一歩には時間がかかった。89分にマック・アリスターのヘディングが外れ、追加時間のメッシの場面も決まらない。ここで焦りが強くなれば、カウンターを受ける危険もあった。

ここで効いたのは、パレデスを中心にした再循環だった。判定の場面で一度は警告を受けたように見えた選手が、その後も底でボールを散らし続ける。精神的には揺れてもおかしくない時間帯で、アルゼンチンは無理に中央へ突っ込む回数を抑えた。外へ出し、戻し、もう一度メッシの足元を探す。その反復は派手ではないが、10人のスイスに横移動を強いた。勝ち越しの前に必要だったのは、速さだけではなく、相手の足を削る長い保持だった。

マック・アリスターの存在も、先制点だけで終わらない。前線と中盤の間で受け、メッシが外へ出た時には中央へ入り直す。スイスが低くなるほど、その小さな入り直しは効いてくる。89分のヘディングは決まらなかったが、あの位置に入れるから、相手CBは最後まで視線を外せない。延長の得点者ではなくても、攻撃の圧を保つ役割は大きかった。

この地味な連続性が、延長でスイスの集中を削った。

スカローニの交代は、少しずつ出口を変えるものだった。78分にニコ・ゴンサレス、85分にラウタロとモンティエル、延長前半からアルマダ、延長後半にオタメンディとホセ・マヌエル・ロペス。名前だけを見ると攻撃的だが、目的は前線を増やすだけではない。外の高さ、右の守備バランス、中央で受ける選手、ゴール前に残る選手を入れ替え、低い相手へ違う角度を作った。

112分のアルバレスは、その長い停滞に対する答えだった。ロペスが左で受け、密集を引きつけてから後ろへ戻す。アルバレスは一歩余裕を得た位置で足を振り、ゴールの上を射抜いた。細かく崩し切るのではなく、相手が下がったぶん生まれた距離を使った一撃だった。アルバレスは前線から追う仕事も多い選手だが、この場面では最後の質で試合を決めた。

120+1分のラウタロの得点も、ただのダメ押しではない。アルマダが運んで打ち、コベルが止めたこぼれ球をラウタロが押し込んだ。エジプト戦でも終盤に関わったストライカーが、準々決勝でも最後の仕事をした。大会が進むほど、先発だけで勝つ試合は減っていく。アルゼンチンにとって、この勝利の価値は延長を耐えたことだけではない。ベンチを含めて点を取り切る道を増やしたことにある。イングランド戦で必要なのは、同じ苦しみをもう一度受け入れることではなく、この道をもっと早く開くことだ。

図解
アルゼンチンの分岐。CK、包囲、延長の二発

先制後に試合を支配し切れなかった時間から、延長の二つのゴールへ至る流れを短く整理する。

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スイス視点。同点後の数的不利がすべてを変えた

スイスにとって、この準々決勝は敗戦の痛みと大会の手応えが同じ場所に残る試合だった。ESPNは試合前文脈として、スイスが1954年自国大会以来の準々決勝に到達したことを記している。コロンビア戦をPKで越え、アルゼンチン相手に67分まで1点差を保ち、そこから追いついた。ここまでの道のりは、偶然だけでは説明できない。

立ち上がりのスイスは、臆病ではなかった。ジャカとフロイラーがボールを受け、ザカリアやロドリゲスが幅を使う。エンボロは中央で背負い、エンドイェは左から内へ入る。アルゼンチンの先制点はCKだったため、流れの中で完全に崩されたわけではない。コベルの前の守備は粘り強く、アカンジとエルヴェディもメッシの足元へ簡単には飛び込まなかった。

コロンビア戦をPKで越えたチームらしく、スイスは「待つ」ことに慣れていた。エンボロが深く収められない時間でも、ジャカが一度横へ逃がし、フロイラーがセカンドボールを拾う。SportsNaviの保持率は44%だが、数字以上に自分たちの時間を作る術はあった。観客席の多くがアルゼンチン寄りに見える中でも、赤いチームは試合のテンポを完全には渡さなかった。

ただ、前線の厚みは限られていた。マンザビを欠き、エンボロが退場した後は、アムドゥニを入れてもカウンターの第一歩が遠くなる。守備で耐える選択は正しいが、ボールを奪った瞬間に相手陣まで運べなければ、また押し込まれる。スイスの苦しさは、守備の失敗よりも出口の不足に表れていた。

それでも最後まで形を失わなかった点は、このチームの財産になる。

67分の同点は、スイスの狙いが形になった場面だった。APは、リカルド・ロドリゲスが整えたパスからエンドイェが決めたと伝えている。左サイドのベテランが相手の背後を見つけ、エンドイェがゴール前で落ち着いた。SportsNaviの枠内シュートはスイス5本。保持率やシュート総数で劣っても、決定機の質をまったく作れなかったわけではない。

だからこそ、直後の退場は重かった。パレデスへの警告に見えた場面が映像確認で覆り、既に警告を受けていたエンボロがシミュレーションで二枚目を受ける。通常、VARが単純な二枚目の警告を直接レビューするわけではないが、この場面は警告対象の取り違えを訂正する流れとして扱われた。APとThe Guardianは、判定がスイスを10人にした経緯を詳しく伝えている。

ムラト・ヤキンの選択も、その現実を映した。退場直後はエンドイェを前に残して、横にそろえた守備で時間を作る。終盤にはリーダー、エンドイェ、ソウを下げ、ミューハイム、アムドゥニ、ヴィドマーを入れた。後半追加時間にはロドリゲスに代えてキュマルト、延長前半にはザカリアに代えてヤシャリ。外側を下げ、アムドゥニを前に置いて耐える判断だった。

それでも延長後半までは持ちこたえた。コベルはシュートを浴び、ジャカは中央で時間を作り、フロイラーも低い位置まで戻った。エンボロを失ったことでカウンターの起点は減ったが、スイスは自分たちの箱を守り続けた。112分のアルバレスの一撃は、守備の連動を大きく壊されたというより、最後に個の質で上を取られた失点だった。

スイスの大会はここで終わった。しかし、コロンビアを退け、アルゼンチンを延長まで引きずり込んだ事実は消えない。エンドイェ、リーダー、ヤシャリらの経験は次へ残り、ジャカやロドリゲスの試合管理も若い選手に受け継がれる。4強には届かなかったが、スイスは守るだけの挑戦者ではなかった。同点にした力があったからこそ、退場後の結末は重く見える。次の大会へ向けて、この悔しさは十分に材料になる。

図解
スイスの抵抗。同点と10人の守備

エンドイェの同点、エンボロ退場、4-4-1から5-3-1へ寄せた耐久を短く整理する。

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準決勝イングランド戦へ。苦しむ前に動かせるか

アルゼンチンの次戦はイングランドである。準決勝の舞台はAtlanta Stadiumで、日本時間では翌朝のキックオフになる予定だ。イングランドもノルウェーを延長で下してきた。つまり準決勝は、どちらも準々決勝で長い時間を使い、最後に勝負強さを出したチーム同士の対戦になる。移動と回復を含め、試合前から細かな準備の差が問われる。

アルゼンチンから見た最初の焦点は、メッシの場所だ。スイス戦では右へ流れ、セットプレーで先制に関わり、相手の視線を集めた。ただし、低いブロックを早く崩し切るところまでは届かなかった。イングランドにはベリンガムがいて、前線にはケインがいる。ボールを失った後の中央を空ければ、すぐに反対方向へ走られる。メッシを自由にするほど、その背後管理も必要になる。

次の焦点は、アルバレスとラウタロの使い方だ。スイス戦の延長では両者が得点者になった。アルバレスは前から追えるうえに、遠い位置から試合を動かす一撃を持つ。ラウタロは途中から入ってもゴール前に残れる。メッシを含めた前線をどう同時に使うか、あるいはラウタロを後半の切り札に残すか。イングランドのCBが疲れる時間帯を考えると、スカローニの選択は試合の温度を大きく変える。

準決勝では休養と移動も無視できない。カンザスシティで延長を戦った後、アトランタへ向かう。中三日に満たない感覚で、ベテランのメッシ、オタメンディ、若いアルバレスやアルマダをどう配分するかは細かな差になる。スイス戦で延長まで使った交代カードは、単なるその場しのぎではなく、次の先発選考にも影響する。ラウタロを先発へ上げるのか、アルバレスを走らせ続けるのか。ここは準決勝の大きな読みどころだ。

セットプレーも見逃せない。スイス戦の先制はCKからだった。イングランドは高さを持つ一方、ノルウェー戦ではゴール前の混戦も経験している。メッシの左足で始まるボールに、マック・アリスター、ロメロ、ラウタロがどう入るか。流れの中で詰まる時間が来ても、セットプレーは試合を先に動かす現実的な手段になる。

イングランド側にも宿題はある。ノルウェー戦では先制を許し、後半の修正とベリンガムの連続得点で勝ち上がった。右のサカ、中央のベリンガム、ケインの降りる動きが近づけば、アルゼンチンの中盤は横へ引っ張られる。スイス戦ではエンドイェとロドリゲスの左側から同点を許した。イングランドが似た場所でサカやSBを使えば、同じ弱点を突かれる可能性がある。

その一方で、アルゼンチンは苦しい試合を続けて勝っている。カーボベルデ、エジプト、スイスと、相手に粘られても最後の時間に点を取った。これは偶然ではない。メッシの判断、アルバレスの運動量、ラウタロの決定力、エンソとデ・パウルの走力、エミリアーノ・マルティネスの大舞台での落ち着き。試合が長くなるほど、複数の勝ち筋を出せるチームになっている。

ただし、準決勝で同じ展開を望むのは危険だ。イングランドはベリンガムがこぼれ球へ入る力を持ち、ケインは一度下がってから最後にエリアへ戻れる。先に失点すれば、スイス戦以上に前へ出るリスクが増える。アルゼンチンは、保持で相手を押し込むだけでなく、奪われた瞬間の一歩目をそろえなければならない。

楽しみは、王者らしい我慢比べだけではない。メッシのCK、アルバレスのミドル、ラウタロの終盤力、ベリンガムの侵入、ケインの支点。準々決勝で見えた材料が、次は同じピッチでぶつかる。アルゼンチンがスイス戦から持ち込むべき答えは、耐えれば最後に何とかなる、ではない。苦しみを知っているからこそ、早く動かし、早く仕留めること。その課題があるから、イングランド戦はさらに濃くなる。

図解
準決勝イングランド戦。中央の奪い返しが焦点

FIFAカレンダーでは、イングランド対アルゼンチンはAtlanta Stadiumで日本時間7月16日4時開始。

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